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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1524.今出来る事を


 伝言の聞き取りに夢中なシュカーラはやや大きな声になりつつ質問を続けている。

「わ、わかりました、それで最後のご伝言ですがぁ…… 『馬鹿』を早く治す方法でしたよね? 師兄、本当にそんな事が可能なのですか?」

『うん、たちかにあっちでも皆懐疑的だったでちよ、でもサンドラが言いだちたのでつ、『『馬鹿』のオーラがドラゴンが炎のブレスを吐く時の揺らぎに似ている、燃やしてみたらどうだろうか』、と……』

「燃やす? 対象者をですか?」

『レイブ?』

「サンドラは弟子の中で一番魔力の操作や観察に長けていた……」

『確かに』

 短く答えたギレスラは、喉を鳴らしながら口中の熱を高め始める、どうやら先程より一層本気のブレスをお見舞いする気の様だ、当然ターゲットは『馬鹿』真っ只中の魔獣二匹である。
 周囲の空気がチリチリと音を立てながらギレスラの眼前に集められていく、差し詰め火力を上げる為の給気装置、所謂いわゆるスーパーチャージャー的な機能なのだろう。

『だけど火で燃やしても『馬鹿』達には特段の変化が見られなかったのでつ』

「待てっギレスラっ! た、待機だっ!」

 小声で告げるレイブの声音は焦っていた。
 その焦燥を本気と判断したギレスラは頷きながら口内のブレスを消し始める。

「なるほど、炎では効果が無かった訳ですね」

『でつ…… でも実験結果を見たジョディが言ったのでつ、『『馬鹿』の揺らぎが炎と酷似しているのならばむしろ冷やした方が効くのでは無いか?』、と……』

「ほう、確かに理屈的にはそっちの方が適ってる感じですよね」

『でちょ? 皆も同じ様に思ったでち、ジョディはこう続けたでち、『中途半端な低温では期待できない、思い切って生物の生存限界の氷点下五十度、いや、百度で冷やしてみよう!』と……』

『レ、レイブ?』

「ジョディは賢いだけでなく、常に冷静で慎重だ、それは弟子の間だけでなく学院全体でも認められていた事実だ」

『な、なるほど! では?』

 ギレスラの問いにレイブは首肯して答えとした。

 ギレスラの周囲を先程とは一転してシンッとした冷ややかな空気が満たし始める。
 大気中の窒素の分子運動を押さえ込む事で液化しているのか周辺の草や地面が早速凍結し始めている。
 ギレスラ自身の鱗も顔を中心にパキパキと音を響かせて氷柱を下げ始め、如何に本気かが窺い知れた。

 ってか、窒素の気化点はマイナス百九十六度である、グログロ指定の温度の倍冷やすとは、オーヴァーキルにも程があるだろ。

 今にも発射する、その時グログロの言葉が続けられる。

『でもこれも間違いだったのでつ』

「ギレスラ中止だ中止っ! おいっ、やめろってっ!」

 クワッ! シャララシャララララーっ! パキッパキッパキッ ベキベキッ ズズーンッ!

「あ、あう…… 木、木が……」

『レイブ…… 冷気のブレスはすぐに消せはしないのだ、引っ張ったりするから罪の無い楓が凍り付いて折れてしまったぞ、もうバラバラのコナゴナなのだ……』

「う、うむ…… 俺とした事が取り返しがつかない事を…… いやっ、今はそれよりもっ!」

 生まれて十九年のレイブと十八年のギレスラ、合わせても倍以上の期間を経てこの場所に生き続けた楓は見るも無残な最後を遂げた。
 その死の切欠、と言うよりはっきり原因な竜と魔術師は悲しみを押し隠して再び耳を澄ましている。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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