見出し画像

【1955話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~

1955.ご指名

 カメ長老は呆れ顔で答える。

『何って神聖銀で出来た神器じゃ、お前チタンのナイフ、持っとるんじゃないのか? テューポーンから聞いたんじゃが』

「ちたん? ちったーん…… あっ、ゼムガレのナイフの事か! これ、スプンタ・マンユってゆーの?」

『じゃぞい、そいつに気を込めて儂を刺し貫いて欲しいんじゃ』

「刺し貫く……」(ゴクリ)

 レイブが息を飲む音は結構なボリュームで喉から漏れる。
 恐らくだが幼い日、不注意からヴノを殺し掛けた事でも思い出したのだろう、あの時は知らず知らずとは言えゼムガレを使ってしまったが、それ以降、なるべく使わないを心掛け、竜の鱗剥ぎや魔獣の血抜きでやむを得ず使用する際にも、魔力を込めない事、それだけに留意して来たのだから当然と言えるだろう。

 あの時は巨大なヴノが黒いもやが溢れ出すのに反比例しグングン萎んでいった。
 このまま消え去ってしまうのでは?
 そう思いながら罪の意識と己のしでかした事の重大さに全身を戦慄かせた物だ。
 今でも時折夢で見て、うなされながら目覚めると季節に関わらずベットリとした汗に包まれている位、そうご紹介すればレイブの心中をご理解頂けるだろうか。

 そんな自身の幼児体験と向き合う中、レイブは襲い来る不整脈と原因不明の眩暈めまいを感じながら、呻きに似た声で呟き続ける。

「お、俺がやる、俺がやるんだ、やってやる、やれる、やれるさ、大丈夫大丈夫、お、俺が――――」

 うん、これだけ繰り返しているのだ、きっと大丈夫だろう、良かった。

 顔面を蒼白にしながら異常な発汗、加えて理由は定かではないが喉でも渇いているらしく何度も大きなゴクゴク音を響かせているレイブであったが横から声を掛けた者がいた、グラムランドの幼馴染でこの辺りの魔獣で一番偉いレオニードであった、腰折るなよな、全くぅっ!

『ちょ、ちょっと待って下さいよっ! アペプ様の依り代よりも神様、ヒュドラ様の事が先じゃないんですか? こんな…… 出兵の準備だって整っているんですよ?』

 キトラは面倒臭さを隠そうともしないで答えるし、実際キトラは臭くもある、つまり二重で臭かった。

『なんじゃ? 出兵したいのなら勝手にやれば良かろうが? 止めはせんぞ、行け行けっ! 見事玉砕じゃっ! ほれ、行ってこいっ!』

『いや別に行きたくは無いですけどぉ…… 良いんですか? ヒュドラ様が邪竜に憑依しちゃっても?』

 判るよ、行きたい訳じゃ無いけど準備しちゃったんだもんな、出費だって半端じゃないのだろうしね、そんな親切な私の惻隠を嘲笑うかの様に、そっぽを向いたままのキトラは返す。

『構わんよ? スプンタ・マンユがあるんじゃったら依り代から悪魔を分離し放題じゃからな? まあ邪竜の影響とかそこら辺は残るかも知れんが母体があのヒュドラじゃからの、許容範囲内じゃろうて! もし憑依している様じゃったら、ほれ、その時はレイブにやって貰えば良いじゃろう! 大丈夫じゃよ!』

「俺がっ、俺がやる! やるんだ、やらなけりゃ駄目なんだからな…… 俺が、ひいぃっ、お、俺がぁっ――――」

 全く駄目そうで大丈夫じゃ無さそうなんだが?



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!

KEY-STU|小説|イラスト|フォロバ100 励みになります (*๓´╰╯`๓)♡

この記事が参加している募集