【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1331.ペジオ・アリシア
兎に角、こうして生来のチャレンジ精神を取り戻す事が出来た私は、改めてパーティーの仲間達に感謝し、彼等彼女等の生末に幸あらんと祈り始め……
『あぁっ! ぺ、ペジオぉっ!』
思い出したのである。
つい今しがた渡り切った川を振り返って確認すると、多少川下へ流されてはいた物の、渡り始めた場所からはそれほど離れてはいないようだ、大体ペジオが取り縋っていた岩場と同じくらいの位置と横並びだったと言えば判り易いだろう。
私は目を凝らして流れの中に視線を動かし続けた。
しかし、どうした事か、先程、川に飛び込む前には確かに存在した筈の岩場が、小さなペジオごと忽然と姿を消してしまっているではないか。
一体何故?
小さいとは言え、何百年も前から川底に根を張るようにそこにあり続けた岩塊である事は、見てくれの丸みがその長さを如実に顕していた筈である、今更水流に因って崩壊するとはとても思えなかった。
で、あれば、件の岩はどうして存在してはいないのだろうか?
考えられる可能性としては、水などとは比べ物にならない密度と重量を持った何者かに攻撃されたとかだろう。
いいや、密度と重量では足りないか…… もっとはっきりとした破壊の意思、例えば強烈な負けん気を伴う突貫でも喰らわなければ不可能だろうと思える。
今となればそんな事も冷静に考えられるが、当時の私にその余裕は無かった。
岩場が消え去った、その一事を目にした瞬間、その場から駆け出してしまったのである。
向かう先は下流、ペジオが流されたであろう場所に向けて一所懸命に走り続けたのだ。
全力で進んだ結果、川幅が広がった場所でペジオの姿を捉える事が出来た。
濁流に飲み込まれそうになりながらも、必死の形相でこちらに向かい、何かを叫び続けている姿であった。
『ぺ、ペジオおぉーっ!』
『馬鹿っ、アップ! 早くっ、ウップ! 死ぬ! ガボガボガボッ、た、助けっ、ブクブクブク』
私は言いようの無い衝撃を受けて足を止めた。
ペジオは助けようとして近付いた私を叱責したのである。
馬鹿め、こんな所で何をしているんだ! 早く行け! 死ぬ思いを耐えてお前を待っている極東ニンゲン達の所へ! 彼等を助けるんじゃなかったのかっ?
水に飲み込まれ掛けてイマイチはっきりしない部分こそ有るものの、大筋では間違っていないだろうと思う、多分。
激流に抗う術を持たないままで流されている最中に、自分の事など二の次、三の次に置いてまだ見ぬ第三者の事を案じているとは……
私はペジオの言葉に達観し超越の極みにある崇高な意思、信念を見た気がした。
『あっ、あーぁー……』
直後、ペジオは両手をこちらにブンブン振り回しながら、速度を上げて滝壺へ飲まれて行ってしまった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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