【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1628.サタンと泥の坊や
パッと見、まだ歳若い女性に変化したサタンは、良く見知っていたバアルが身に着けていた物と同じ赤いローブを身に纏っていた。
とは言え、古びて色褪せ切ったローブは濃い茶褐色に変じていて、うら若く美しい女性が着用するには少し不自然にも見える。
――――ふむ…… 改めてしっかり見ると少し年寄り臭い衣装だわね、こりゃ…… それに初めて訪問する村に行くのに手荷物一つ持たないって? 余りにも不自然じゃないかしら…… 何かそれらしい物が落ちてれば良いんだけどぉ……
姿を寄せたら人間的な常識まで芽生えたらしい、しかし所詮は付け焼刃、ここまで偽者とは言え魔神様として魔界に君臨してきた身で庶民感覚が正確に理解出来る訳が無いのである。
それにここは黒海のほとり、葦が生い茂った泥濘である。
ちょうど良い旅装やバッグみたいな物が転がっている筈は無かった。
「おっ、これで良いかしら…… 良い、わよね? うんっ、手ぶらに比べれば随分マシな筈だわ♪」
そう言って拾い上げたのは半分崩れ掛けた泥製のお人形、いわゆるゴーレムとかクレイボーイとか呼ばれ祭祀なんかで使われ廃棄されたであろう無表情な小人であった、私観察者の個人的意見では手ぶらの方が全然マシだと思ったし、レイブ達に語っているガト本人もそう思っている様である。
ガトはサタナキアの思い出にアクセスし、私もいつも通り観察と経験を共有しているだけだ。
当時のサタンに忠告する声は皆無だったのである。
茶色く変じた古いローブに身を包み、泥人形を赤子の様に胸に抱いたサタンは水辺から離れて歩き出した。
一応愛想があった方が良いだろうと考えた結果、精一杯の笑顔を貼り付けて軽くスキップをしながら最初の集落に入っていったそうだ。
「そしたらね、サタナキアを見た村人が叫んで逃げ出したんだって」
ガトの言葉に聞き手一同は力強く頷いて返した。
ガトの言葉は続く。
「スキップで思った以上の距離を移動していたみたいでね、習俗とかが違ったのかな? 見慣れない衣装で驚かせちゃったみたいなのよ」
レイブは、そんな問題じゃないだろう、そう思いながらも質問で返す。
「スキップでそんなに移動するって案外凄いよな? アレか、身体強化とかそーゆー?」
どうでも良い事が気になってしまった様だ、仕方無いな。
「ううん、バアルに化けたんだから『乱用』の効果よきっと! バアルって瞬間移動的なスキルも持っていた筈だから」
「ほぅ」
ああ、オルクスとの出会いで『神速』の目にすら止まらなかったヤツだね、そう言やあったな。
『ねえローブの下は? レイブお兄ちゃんみたいに裸だったの?』
再び、どうでも良い。
「ううん、ローブと同色の茶色いスカプラリオを身に着けていたのよね」
スカプラリオ? って依り代聖職者なのか? 全くバアルも見境無いなぁ……
『ふーん』
『それでどうしたのだ、逃げた村人を追い掛けたのだろう? 瞬間移動も使えるのだ、よもや取り逃がす事は無かったであろう!』
何でだよ、ソレ夢に出るヤツだろ。
「それがね、見逃しちゃったのよね、ほら、地上って魔力が希薄じゃない? そのせいかお腹が空いちゃってねぇ~、んで無人になった村中から食べ物を探して来て食べ尽くしちゃったのよぉ~」
お、おう、そこまでだと軽めの災害レベルだね。
その後の会話は、次は逃がすなよだとか、一人捕まえておけば食べ物探しが捗っただとか、大丈夫、次こそ一網打尽よだとか、今後の成長に期待していますだとかの、不毛極まりないやりとりだったので割愛させて頂くとしよう。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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