【1954話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
1954.トランスレース
『しかし副王アペプ様、死なずにその悪臭をなんとか出来得るのだろうか?』
グラムランドも大概だがこっちには返事をするアペプのキトラ、正直な男の様である。
『それじゃよ! 全身が臭いんじゃからちまちま消臭しとっても間に合わんじゃろ? だからの、儂、依り代替えようと思うんじゃよ♪』
『ほう、そんな真似が出来るのか』
『出来るんじゃのう、これが! レッツ、トランスレース、又はスピーシーズチェンジって奴じゃっ! ヒャッホゥ!』
ノリノリだな、こりゃ…… しかしレースにスピーシーズって、種族自体を替えるって事だよな? 酔っ払いペトラの分析でカメに失望したとか? あれ単なる個人的な見解だぞ、多分。
冷静な私、観察者と違い、分別とか科学的検証とか入浴なんかを思いも付かない馬鹿共は更に話を進める、ペトラを待てよ。
「なるほど、古惚けて腐り掛け悪臭の根源である体を捨てて新品同様なフレッシュボディにスイッチ、って事か」
『そうじゃぞい、心機一転、香りもフレッシュ! じゃ♪』
『あたかも古い人を脱ぎ捨て新しい人を着るかの様に、か…… しかし服や衣装の如く簡単に脱ぎ捨てられる物でもないのだ! なにせ我々全員及び、これまで南の池の爺が出会った全ての者の記憶には色鮮やかに焼き付けられてしまっているのだ…… 爺、臭過ぎ、吐きそう、とな!』
そこでエフェソを引用すると意味が判り難いぞ? あっちは新たな人になる為に古き自分を脱ぎ捨てなさい、だからな? 寧ろキトラ爺さんの主張を後押しする感じになっちゃうじゃん。
しかし、いざペトラが不在だとギレスラも中々に博識なんだな…… アレか? しっかりした奴がいる場ではふざける小学生男子みたいな? それか、親の前でだけ子供っぽさを前面に出す計算高い子供的な? ああ、あざといとかもそうかな? うーん、難しいなぁ。
『判っとるわい! その為の種族変更じゃろうがっ!』
なるほど。
「長老自身が良く考えて決めたんなら俺は賛成だよ! 臭いのに平気なふりしなくて良くなるしさっ、大歓迎だよ」
こいつはこいつで相変わらずの毒を無邪気に撒き散らかしやがって……
『おぉ、流石はレイブじゃ、良い子じゃのぅ』
お爺ちゃん属性かよ? 怒るべき所だぞ、殴るまであるかも知れん。
「じゃあ頑張ってね」
『何を言っとるんじゃ? やるのはお前じゃぞい』
「へ? 殺る? いや犯る、じゃないよな…… 遣る、与る? んー、やるってぇ、何を?」
『お前スプンタ・マンユ持っとるんじゃろ? そいつでひと思いにやってくれい』
あーそーゆー。
私、観察者は得心だが、当のレイブはちんぷんかんぷんな表情で返す。
「スプンタ・マンユって何?」
そりゃそうだ、何しろ初耳だもんな。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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