【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1397.黒熊坊やの想い出
真剣そのものの表情を浮かべた黒熊獣人は自身が思い当たった懸念について話し出した。
アイユの里でも最年長の一人である彼の家は、代々言い伝えや昔話を次代に語り継ぐ役目、所謂口伝の任を負って来たのだそうだ。
幼児期から父母や祖父母に言い聞かされてきた内容は、子供たちの為の寓話がその殆どを占めていたと言う。
しかし、それらと一線を画する恐ろしげな話が一つ、まことしやかに伝えられてきていたらしい。
「よいか、決して森王様を不在にしてはならんぞえ、常にハタンガに相談を絶やさぬ様にして、次の森王様候補を選んで頂かねばならぬのじゃ、これは忘れてはならん大切な事だぞい」
「お婆ちゃん、もし森王様がいなくなっちゃったらどうなんの?」
「恐ろしい事が起こるんじゃぁ、たたりが起こってのぉ、アイユの里、いんや、クルン=ウラフの森全体が滅びてしまうんじゃぞい」
「何それ、こわい」
そんな幼い頃の会話を声真似まで付けて披露してくれた里長は、震える声でこう続けたのである。
「婆様が言うには、それまで里人が狩って殺したモンスター共が蘇り、その、人々に襲い掛かってくるのだとか……」
「え、それってそのままじゃないの!」
ザワッ!
周囲にいる若年のリーダー達がざわめきを起こす中、独り落ち着いた佇まいのままのシュカーラの声は凛としている。
「里長、それは迷信と言う類の物ですよ? 森王様は大切だからしきたりを変えないように! そんな事を伝える為に盛ってるんですよ、子供向けにね! それ位判るでしょう?」
『草原を燃やし尽くすとおねしょする、アレなんかと同じか?』
ドラゴン……
「ですです、子供に言い聞かせる時のやつですよ、申し訳ありません、お騒がせしちゃいましたね」
「だが、儂は子供の頃見たんだ! 殺した筈のモンスターが生き返って里を襲ってきたんだぞ!」
ザワザワッ!
ざわめきが高まる中、シュカーラの声は非難の色を強める。
「里長…… またそんないい加減な事を…… 今日ちゃんと『再生雨』浴びましたか? 駄目ですよ、そろそろ年齢的にも、ねえ、色々とぉ」
なるほど、亜神の恩恵で色々暮らしやすくなっていそうなこの里でも、高齢による様々な機能の減退や不都合からは逃れられないと言う事か…… 是非、黒熊お爺ちゃんには穏やかな余生を送って貰いたい物だ、そう願うしかあるまい。
そんな風に私は心から願ったが、当の里長は口の周りに泡を吹き出させながら否定の声を上げる。
「年齢的っ? 歳が何だっ! まだまだ若いもんには負けんし頭だってはっきりしているぞっ! ええいっ! 年寄り扱いは真っ平だっ! どいつもこいつも年齢の事ばかり言いおってぇ! 年齢が何だっ! ん? ね、年齢? …………ハッ、ハッ、グハゥッ!」
ほらほら、歳とか性別とかさ、否定しようの無い事を論拠に人を評価しちゃったらこうなっちゃうじゃん…… そこはほら、小人の隠し穴のお付の皆みたいにオブラートに包まないと駄目なんじゃないのぉ?
そんな私、観察者の嘆きとナイスなアドヴァイスは、例によって無視される中、金属板で遊んでいたレイブから発せられた、別個のアドヴァイスが不毛っぽかった議論の場に一石を投じたのである。
「どうしたんだ? 年齢ってキーワードで何か思い出した感じじゃないのか?」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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