【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1730.奴が来る!
時間は戻り、ヴァンパイア達が山へ離れてから一年程後、昼下がりの丘でレッドクローバーの移植をしている最中、ヨハンは驚愕の声を上げたのである。
「えっ! 本物のバアル様がやって来る、ですか! ここに? 何で?」
サタナキアが移植ゴテを指先でクルクル回しながら返す。
「何でってアタシは知らないわよ、カイムがそう言ってたのよ、夕ご飯の時にでも聞いてみれば?」
「あーなるほどぉ~、で、見つかったらやっぱりヤバイんですよね?」
「まあねー、バアルに化けてた事よりもね、勝手に魔界から出てフラフラしてる件は怒るでしょうねー…… あぁー、憂鬱だわー、会いたく無いわー」
「でしょうねー」
話の内容からしてお判りだとは思うが、この一年の間に起こった変化がある。
屋敷の中で主だった面々、とは言え必要最低限の人数に限ってだが、サタナキアは自分がバアルでも神の母でも無く、化けているのだと告白していたのである。
しかもあのカイムまで依然この城に逗留している感じの話しっぷり、カオスキャッスルが成り立ちつつある気配ビンビンなのである。
実の所、火傷の治療を受けていたカイムが、気紛れで見舞ったサタナキアに事情を問い質し、洗いざらいゲロった事から、らしく無い告白を決意する事になったのである。
手下が欲しくて魔界から出て来た事、人々から追われて已む無くバアルに化けざるを得なかった事、そうして救ってやったレッサー共から信仰パワーが一欠片すら実感出来なくてモチベだだ下がりな事等を話したサタンは続く言葉でこんな風におどけて見せた。
「まあここは気の良い奴もいるし生活自体に文句は無いんだけどさ」
嘘吐きの居候の癖に偉そうな上から発言を聞いたカイムはアドバイスをした。
「きっと信仰の対価はバアルに流れちゃってるんだねーポロ、正直にサタナキアだって言えば力を得られるよーポロッポー」
サタナキアの表情は暗かった。
「うん…… でも今更言いたく無いわ…… 特にあのレッサー達にはさっ、判る、この気持ち?」
嘘を吐く事に一切の罪悪感を持たないクズが答えた。
「じゃあ良いじゃんアンナ弱っちい奴等ポロ! あれでしょ? 魔核の子達にだけ伝えれば? ポロロン?」
こっちはこっちで背徳になんら後ろめたさを感じない悪党だ。
「そうね♪ あっ、でもアタシ魔界じゃルキフェルを騙ってんのよ、出来ればそれは通したいのよねー、ほら、威張れるじゃない?」
クズ即答。
「名前とか教えないでゆるっとしとけば良いんじゃないポロロ? 最近流行ってるでしょ? 主とか至高なるお方とか我が神よとかさ! あんな感じで名前を口にするのは不敬とか言っておこうよ、ポロポロ」
悪も異論は無い。
「それ良いわね♪ じゃあアタシはバアルと神の母の部分を否定するだけにしとくわ! ねえ、アンタそれとなくアタシが尊敬される様に促してくれない? ほれ、多分ルキフェルかなぁ、とかさ」
クズ。
「代わりに贅沢させてくれる? ッポ?」
悪。
「当然よ! 契約成立ね!」
ク。
「悪魔は契約は守るっポ」
あ。
「当然よね、魂の誓いよ」
こうしてニヤリと笑顔を交わした嘘を嘘とも思わない二柱の上位悪魔。
この同意のせいでこの期に及んでサタナキアの正体に気がついている者はいない…… 非常に不安定で不平等なバランスが、この時点での魔城の実体となってしまっていたのである。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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