【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1740.混沌の裂け目
――――暗い? いや明暗の度合いではなく『無』、であろうか? 宇宙空間か? いやいやアストロでもないな…… 何も感知する事が出来ない闇でありながら全てが混在しているかの様な…… 『有』の渦? まだ何でも無い『有』の因子が凝縮し何かを待ち侘び、でありながら今にも弾け出しそうな爆発の意思を募らせている、のか? これは混沌、カオスなのであろうか! であればここに集結した『有』が待つ物は…… まさかっ!
「裂け目、か?」
不思議な空間に恐怖を感じた一瞬で、バアルは潜行を解いた。
魔神としての本能が何かを感じ取ったのだろうが、経験者として言わせて貰えばその選択は賢明そのものである。
世界、宇宙の始まり、混沌に切欠を放った裂け目、奇しくも残されていた大きな魔力の持ち主と同じ名で呼ばれるカイムとは、軽々しく関わって無事に済む様な代物では無いからだ。
そこに触れ、何かに干渉した場合、いや干渉された場合、だろうか? その後の世界は極端に違ったものとなってしまう事だろう。
幸運にも私、観察者は時間の大いなる流れの中で漂う、それ位で済んではいるがこれとても結構な悲劇、大事だったりもする。
一例を挙げるならば読み掛けたミステリーの結果が夢で見えたりしてしまう、そんな感じもあったりするのだ…… グスッ。
取り敢えず、窺知の潜行から逃れたバアルは深く息を吐いたが、休む間も無く親子の話し声が耳に入る。
「あっ、本当ですね、我が君、カイムですよ」
「本当だ、西に飛んでいますね、どこに行くんでしょうね?」
ババッ! キョロキョロ
慌てて周囲を見回すバアル、つい今しがた見て来た『裂け目』だと思ったのだろう。
ハミルカルは主に向けて一層気楽なトーンで語り掛ける。
「ほら我が君、あそこですよ、向こうの丘の上、あそこ飛んでいるのってカイムでしょ?」
指差された先に視線を向けたバアルは今度こそ安堵の息を吐く。
「はぁー何だ、鳩の方、馬鹿のカイムの事だったか、ふぅ~ あれだろ? どうせどこかに豆でも貰いに行くんだろ?」
「あー馬鹿ですもんね」
「ですね、本当に馬鹿なんですね、カイムって♪」
「まあね、それにアレ、人型だと着ぐるみの変なおっさん、更に大嘘吐きだからね」
「「あー、あははは」」
「あはははは」
魔神、神として崇み見られる立場でありながら、普通にビビッてしまっていた身には、それなり以上に軽薄な腹心親子の存在が随分有難く感じられた、非常に稀有な場面なのであった。
――――そうだっ! 妾はこの星、外界から隔絶されて久しい地球に於いては絶対的な強者だったじゃないかぁ! あはは、うっかりしちゃったよ、てへへ♪ さて、阿呆のカイムでも眺めてさっきの嫌なイメージを上書きするとしようかな、どれどれ? 相変わらず馬鹿なんだろうなぁ、エヘヘ♪
気分直しに身体能力を強化して、先程ハミルカルが指し示した北の丘を凝視するバアル、視力で換算すれば大体10.0から12.0の間位だろうか。
「んー、おっ、本当だっ! カイムだな♪」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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