【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1322.放蕩
一月の旅程は守られなかった。
気分やで我儘な赤壁、ズィナミの気紛れを、鎧壁のレもクネ壁のエンペラも嗜めなかったせいだ。
ピョン壁のペジオはそもそも喋らないから論外だった。
あっちへチョロチョロ、こちらへイソイソやっている間に、旅路は二年にも及んでしまっていた。
最終的に気が付いた事だが、コイツ等は端から急いでいなかったとみえる。
キャス・パリーグが『森王』になるのを不憫に思ったとかで態と迷ったりしていたそうだ。
私が立候補した事でそんな懸念は消え去った筈なのだが、その後もコイツ等ときたら、一向にハタンガに向かおうとはしなかったのだ、摩訶不思議だ。
兎に角、二年の月日には色々な事があった。
大体がズィナミのせいで揉めてその他のメンバーでなんとか乗り切ったのだ。
ある時はズィナミのせいで大量のモンスターに取り囲まれて命からがら逃げ出した。
ある時はズィナミに突き落とされたレが湖に沈み、主の水竜と知恵比べをする羽目になった。
ズィナミのせいでペジオはアルコール中毒になり掛け、ズィナミのせいでパリーグは西の果てまで飛ばされてしまった。
あれもこれもそれもどれも、ズィナミのせいで、最高に愉快で痛快な冒険の日々となったんだ。
共に過ごした月日は私も成長させてくれた。
旅の終りには私の体は倍ほども大きくなり、最初は私よりも大きかったパリーグを乗せて走り続けられる様になっていた。
勿論、『回復』系のスキルも習得する事が出来た。
代わりに全身に幾つもの消える事が無い傷を負うはめになったが後悔は一度も感じた事が無い。
一時はあの旅が永遠に続けば良い、そんな風にも考えたが、終りは突然訪れたのだ。
アリスの使いだと名乗る双子のデスマンに発見されてしまったのだ、案の定ズィナミのせいで……
この双子、カゲトとクロトはまだ若く、私の半分にも満たない体躯だったのだが、その能力には目を見張ったものだ。
見た目の鈍重さを裏切って余りある機動力は陸上、土中に加えて水の中にまで及び、瓜二つの容姿を駆使したトリッキーなパシュートの前に、私達パーティーはいとも容易く追い詰められてしまったのである。
この双子は、対象を捕捉して魔力の行使を阻害してしまうスキル、『拘束』の使い手だった。
追跡対象の魔力を探し出して追跡する『追跡』や、練り上げた魔力をロープの様に巻き付けて相手の自由を奪う『捕縛』、外界から隔絶された魔力の檻に閉じ込める『監獄』、魔力のマーカーをつけた特定の生物の行動を監視する『接近』等々、どれも聞いた事も無かった珍しく、使い所によっては悪用出来そうなスキルを幾つも使いこなしていたのである。
私はこれらの技能に惹きつけられてしまった、いいや、魅了されたと表現した方が正確だろう。
大人しく『捕縛』され、しょげた様子で連行されて行くパーティー達の中、私は独り、キラキラした眼でデスマンの双子に弟子入りを懇願し、そして認められたのである。
驚いた事に彼らのスキルは我々魔獣が慣れ親しんだ『回復』や『治癒』の応用なのだそうだ。
聞けば、習熟しさえすれば、大規模な結界等を展開する事も可能だとか、夢が一気に膨らんだ事を憶えている。
浮かれた気分の私には、それからハタンガまでの護送中の記憶が定かではない。
うっすらと憶えている事と言えば、トンズラしようとしたパリーグがカゲトの『監獄』に収監されて、父親のヴノを呼ぶのだけは止めて欲しい、そんな事を言いながら泣き喚いていた事位だろうか?
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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