【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1482.MARAN・ATHA
殺る覚悟を決めたレイブは無言のままその場に棒立ち状態である。
動かない事を不審に思ったのか背後からシドが声を掛ける。
「どうしたんだい? 固まっちゃってー?」
「いやー、ちょっとココん所がぁー、あれれー?」
「んんー? どれどれー?」
――――良し、そのまま近付いて来い! 全身全霊最速の一撃でコイツを喰らわしてやるぜ!
心中を悟られない様に、視線を伏せがちにして背を向けたまま、手にしたゼムガレのナイフを強く握り直したレイブ。
その様子を目にしたランプリー、タリヒマルとエレーロギャップの二匹は横目を交し合うと同時に小さく頷きをも合わせている様だ。
次の刹那、
ササッ! ピピッ! シュウゥー×2
「えっ!」
二匹のランプリーは殆ど同時に体を捻って素早くゼムガレの刃に自らの腹部を這わせていたのである。
純粋な刃物としては、決して切れ味が良いとは言え無いゼムガレのナイフであったが、ほんの僅かな接触で、ヤツメウナギの巨大な腹部を深々と切り裂いてしまっていた。
「な、何で…… ほえっ!」
切り裂かれた場所から溢れ出たのは鮮血ではなく黒々とした靄であった。
同時にレイブの脳裏に直接流れ込む二つの声。
『アスタロトの依り代、心優しき巨人の子よ』
『自らより他者を慮れる解放の御手よ』
――――え?
『我が名はタリヒマル、全ての物質の凝固を司る、これよりは我の持ち得る全てで以って貴方と貴方の友に忠誠を誓わせて頂こう』
『我は万物を沸き立たせる者にして名をエレーロギャップと申す、新たなる我が君の栄光と勝利に全てを捧げましょうぞ』
――――タリヒマル? それにエレーロギャップ? って今死んじゃったんじゃ……
『『マラナ・タ』』
流れ込んだ言葉はそれきり途絶えてしまったが、レイブは暫らくの間呆けた様に動けないままで立ち尽くしていた。
コロン! コロリ!
「はっ!」
目の前の靄が消えると同時に足元に真っ赤な結晶がどこからともなく転がり出ていた。
目を剥き出して驚愕するレイブの視線には、二つの鮮やかな結晶の先で横たわる二匹のランプリーがビクビク蠢いている姿が映っている。
直前の巨体と比べれば随分縮んでしまったとは言え、まだペトラ並みの全長をした赤と水色のヤツメウナギは大きさからも魔獣と思われ、不思議な事に切り裂かれた筈の腹には一条の傷すら残されてはいなかったのである。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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