【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1477.悪魔の誘惑
嬉しそうに後ろ肢をホップしながら自分の前に跳んで来た緑の魔王を見つめながらレイブは言う。
「そうか、テューポーンさんの親分であるアスタさんが入ってくれているんだもんな、あきらめるな! そう言ってくれているのかな? 励ましてくれてる?」
『ジーッジーッ!』
「ははっ、そっか! 良ーしっ、一丁頑張ってみるかっ!」
『だな、我はレイブより強くなるのだ』
『そうね、それでお師匠達を迎えに行きましょうよ! お兄ちゃん達はアタシが守ってあげるわっ!』
フンスッ! そんな感じで大きな鼻からやる気を噴出したペトラの声に、シドは微笑みを深くしながら返す。
「そうその意気だよー、頑張ってねー君達なら出来るっ! んじゃあ、私はそろそろ魔界に向かうよー、そろそろ死んじゃってもおかしくないからさー」
「あ、そうすね、なんか色々ありがとうございます」
『お大事に、なのだ』
『アタシ達がハタンガに向かう時、元気になってたら手伝ってくれます?』
「ああ、その時は駆け付けさせてもらうよ、じゃあ又ね! って、んんん?」
元気に見える事でスッカリ忘れかけていたシドの状況、瀕死を思い出したスリーマンセルは社交辞令的な別れを告げ、シドもアテにはならない空約束で返し、いざ別れ! そう思われた瞬間にシドが不審な声を上げた。
視線の先には少し前まで勝者と敗者として鎬を削り合っていたイヌ科とネコ科が惨めに座り込む姿が見えた。
今や揃って敗残兵と化した二匹、いや二人の周囲には如何にも縁起が悪そうな、関わっただけで運気が下がりそうなドンヨリとした空気が漂っている。
シドはぼそぼそと語り合っている二人の声に耳を澄ましている様だ。
「どうせ俺達なんて……」
「言うなよブロル、もうどうしようも無いじゃないか……」
「あぁ、レベルもカンストしちゃってたしな、あぁ、がっかりだよ」
「な? 俺達もレイブさん達や里の仲間の役に立ちたかったよな?」
「里の皆にはいらないんじゃないか? ほれミロン、サタナキア入りのガトさんだっているからさっ!」
ピク
「まあなぁ、あーあー強くなりてぇなぁー」
「本当だよなー、ちえっ、何とかならないのかなぁー」
ピクピク
「君達っ!」
「え? 俺達、ですか? 強者様?」
「何の力も持たない雑魚に何か御用でも?」
卑屈の極み、戦士として、と言うか人としての尊厳すら失ってしまった哀れなブロルとミロンに語り掛けるシド・リキードフォルムの声はどこか浮き浮きとした喜びが含まれて聞こえる。
「君達さぁ、若しかして力を欲したりしてるぅ?」
甘ったるい猫なで声に反応したのはネコ科っぽいミロンである。
「は、はぁまあ、強くはなりたいですけどね、かなうなら、ですが」
「へぇ~」
男前だった顔は口角が異常なほど引き上げられて見る影も無い、なんと言うか恐い。
不気味な水の悪魔の笑顔にブロルはそっぽを向きながら答える。
「でも俺達はレベルも頭打ちなんすよ? なんなんすか、からかっているんすか?」
「あーなるなるー、そっかそっかー、クヘヘヘヘ」
相槌を返したシドは、既に隠す気も無いのか口は耳まで裂け広がり、碧眼の瞳は如何にも怪しいオーラの尾を引いている。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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