【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1517.ウルヴァリンでち
しかし困ったな、何しろ問題は何一つ解決してはいないのだ。
これは運を天に任せるしかないのでは? グッドラック、ラマス! 私、観察者がそう諦め掛けた時、思いもよらない怒声が響いた。
絶賛『馬鹿』の真っ最中、追放エリアのミロンとブロルの声である。
「グルルゥーッ! グルルル」「フーッ! フシャーッ!」
「ん? 何だ? アイツ等、遂に殺し合いでも始めるのか?」
暢気に言っている場合じゃないだろ、本当にやり始めたらどうする気なんだ。
『ガァァでちぃ、ガルガルガルルルルウゥでちよぉ!』
「ん? あの声は……」
モンスターや野生動物の唸り声? にしては少し甲高い声が二人の地面近くから響いてくる。
何か思い当たる事でもあったのか、レイブは追放エリアの荒縄を越えてズカズカ近付いていくではないか。
「おお、やっぱお前だったかぁー! ミロンとブロル、警戒しなくて良いぞ! コイツは俺達の弟子なんだよ」
レイブが大声で言い、それに合わせて『馬鹿』二人は元いた場所から少し後退った様である。
そのまま戻ってくるレイブの足元には小さな毛むくじゃらな生き物が一匹、一所懸命に四肢を動かして寄り添って来ているのが見える。
「独りで来たのか? 遠かっただろう?」
『大丈夫でち、速くは走れないでちけど、ゆっくりなら一日中でも移動できるのでち』
「そっか、偉かったな! おーい! ギレスラ、ペトラ! グログロが来たぞぉ!」
レイブの声にギレスラとペトラは驚きの声で返す。
『何? クズリのグログロかっ? おおっ、驚いたな、本当にグログロなのだ』
『シンディの所の? まあ、良く迷わず来れたわねー! アンタ、途中で恐い思いしなかったー?』
『まっつぐ来たでち、邪魔するヤツは噛み殺ちても良いのでち』
恐らくシンディかラマスにでも言われたのだろう、堂々と胸を張る姿は中々勇敢だが、如何にせん体が小さ過ぎて舌足らずな言葉遣いと相まって、どこか滑稽な可愛らしさが滲み出ている。
『短い間に言葉も随分上達したのだな』
『えっへん』
『ふふふ、こっちに来て座りなさいよ、今干し肉とお水を持って来てあげるからね』
『ありがとでち』
グログロの言った通り、クズリは持久力に優れ成獣であればその縄張りは五百平方キロ以上であり一日の移動可能距離は数十キロに及ぶのだ。
その上強靱な牙と爪に加え恐れを知らない性格は自身の数倍を越える獣にまで堂々と立ち向かう事でも知られ、英語名のウルヴァリンはそのまんま、例の超人映画の主人公の獰猛な性格を表す為に使われていたりもするのである。
とは言え、ぺトラに勧められた岩陰に四肢を大の字に広げて寝そべり、何度も大欠伸をしている姿からは凶暴さ等微塵も感じ取る事が出来はしない、スマートな熊の子供みたいである。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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