【1936話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
1936.立つ場所により
キトラの言葉は続く。
『フォグはルキフェル用の容れ物じゃったのぉ…… まあ失ったとすれば残念至極、じゃがバアル、アスタロト、サタナキアの依り代が揃って無事…… あの規模の魔力災害でこの結果ならば上出来じゃ♪ 良しとせねばのぉ、フォフォフォフォ♪』
ん? 何だ? 残念、は兎も角、上出来? に良しとせねば? だと?
「容れ物って…… まあそうなんだけどさ……」
レイブもどこか釈然としない表情だ。
肉体や精神、記憶や経験は様々な物質で構成された一種の保存容器だと言える。
中身の魂はいづれ個、又は集団の一部として再利用される言わばリサイクル部品である。
少なくない悪魔と出会いそこら辺の仕組み、アートマンとブラフマンについて理解しているレイブでも物扱いには抵抗しかない、何故なら今現在、生存している状態では間違いなく個、アートマンだからである。
人に限らず、自我を有した生命はすべからず死を恐れる物だ。
個性として形を成したアートマンや使い慣れた肉体を失う事に忌避を覚えるからである。
死を恐れる程度は個々に差異があるだろう、しかし、生きたまま野生動物に食われたいと思う人間は少ないのでは無いだろうか。
痛いし苦しい、下等だと断じた生物に蹂躙される敗北感もあるのかも知れない。
「せめてトドメをっ!」
確かに惨い…… しかし、立場を変えればそこにも意味があったりする。
血抜きがし易いだとか? 脱力しきった死体は重いだとか? ああ、活きが良いとかもあるよね?
「鮮度が違うよっ♪」
うん、殺してからの時間が短いとそうだよね。
肉食動物にもちゃんと理由があるのだろう、と思う。
そもそも肉や野菜で構築された体を『自分』とか『俺自身』とか『アタイはアタイ』とか?
色んな死体で造られている、それが肉体なのだ。
他種族は食い物、道具の素材、便利な手下、愛でる玩具、なのである。
エゴだわ! 酷いっ! カーイソー 自己チューだな、おい!
確かに、だがそれが弱肉強食、この世界に生を受けた者全ての宿命であり言ってみれば原罪なのかも知れない。
無機物を分解吸収するだけの原初の生き物なら良かったのにね、進化しちゃったからね、仕方が無いのだよ。
しかし、しかしだ…… 残酷だろうが凄惨だろうが可哀想だろうが、食べるならっ、生きる為ならっ、まあやむを得ない、頑張って理解しよう、お互い様だし。
だがこれが、
「あいつ等よりも楽したい」
だとか、
「あっちの方が住み易そう、景色も良いし」
だとか?
「あの辺りの地面、掘ったら良い物出てくるんだと」
と来て、
「あいつ等考え方違うし、信じてる神様も聞いた事無ーから殺しちゃうか」
とかの挙句、
「正義のミサイル発射だー」
「これは聖戦なり」
「勝者こそが法である」
「命は掛け替えの無い物なの! だからお金で払って」
に至り、
「戦いは数だよ兄貴」
からの、
「彼等の戦いはまだ始まったばかりだ」
で、繰り返す…… 復讐とか生存権だ自由とやらで。
ここまで来ると、エゴだし酷いしカーイソーだし自己チューだし、おい! でもあるだろう。
自分だけが優れた人、選ばれた民とか言った勘違いが根底にあるとしか思えない。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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