【2008話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
2008.過去からの呼び掛け
そこまで言うなら、そんな消極的な同意でワンオペを許されたキトラカメムシは、神妙な顔付き(虫だから)でカサカサと鏡面に近付いていくと徐に片手を差し出したのである。
そのまま表面で手を止めたキトラは首を傾げながら呟く様に洩らす。
『やはり通れない、のか…… 何故じゃ?』
『通れなければレイブを追えないのだ! パッパ何とかするのだっ!』
『何とかと言うてもなぁ…… あれぇ?』
『つまり長老のはったり、っすか? 大風呂敷って奴っすね!』
「ブラフだったと?」
「はぁ~、我が君~」
『いやいや昔は何度も通っているのじゃぞ? コユキ様達とイッカクを捕りに行ったり温泉でゆったり過ごしたり――――』
何故かキトラはクラックに入れないらしい、俄かに紛糾し始めた一同の中で、竜王グラムランドが全員に向けて注意を促す声を発する。
『待て皆の者! 何か聞こえぬかっ? ノイズの様な不思議な音がしておるぞっ!』
『むっ?』
耳を澄ませる一同に場違いで素っ頓狂なダミ声が響く。
「…………えー、テステステス、ごほんっ! あー、貴方は認可されていない魔力紋で連続して三回この扉を通過しようと試みたのでござる、あっ、試みました、えー、安全プロトコルに従って次回以降の接触につきましては迎撃システムでの排除対象とさせて貰うでござる! ……貰います」
なるほど、多少気取って上品ぶっているが間違いなく善悪の声だ、多分録音された警告メッセージ的な奴なんだろうな…… うん、懐かしいダミ声だ。
私、観察者と同じく懐旧の情を抱いたのだろう、カメムシのキトラは再生音に向けて叫ぶのである。
『善悪様! 儂ですじゃっ! 通して下されいっ!』
愚かなカメムシ、元カメ、元々腰蓑、声がすれば本人がいると思っているらしい、哀れな。
叫びながら鏡面に取り縋るカメムシに無慈悲なメッセージが続く、今度は只の機械音っぽい。
『ビーッ! 警告を無視した侵入者を排除します、『デスサンダースパイク』が発射されます、ビーッ! ビーッ! 発射まで五秒、四――――』
『何か物凄くヤバそうなのだ! 一旦引き上げるのだパッパ!』
『ぜ、善悪様ぁー!』
『二、一――――』
『間に合わんぞっおいっ!』
『『「「ヒイィッ!」」』』
『ゼロ…… ファイヤーッ!』
デスのサンダーのスパイクとやらのカウントダウンは終り、無慈悲な排除システムに一行が蹂躙される事となった。
『善悪様ーっ! コユキ様ーっ!』
全員が身を強張らせて震える中、キトラの叫び声だけが場違いに響いた、既に狂っているのかも知れない、お大事に、ってか必要無かったかな? 無慈悲なシステムに殺されるだろうし…… 経過を観察してみよう。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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