【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1387.傘
静かに目を開いたレイブのどこか悟った様なすっきりとした顔を見て、大人しく待っていたパダンパが声を掛ける。
『んでどうします叔父さん? きっと上にまだいますよ化け物、困りましたね? 一緒に殺っちゃいますか?』
レイブは深い溜息と共に、判り易く首を左右に振りながら答える、見るからにやれやれ、といった風情だ。
「はぁ~、そういう所が駄目なんだよー、荒んだ心は何も産み出さないんだからな? いいか? 他者との関係に置いて大切なのは笑顔なんだよ! そして信頼や誠実さを見せるのは、いつも自分から、なんだぞ? ほれ一緒にいってやるから頑張ってみろよ! 笑顔だよ笑顔」
『え、でも……』
「でも? デモンストレーションか? 衆の威を以って相手を圧するってか? そーゆー対決姿勢が駄目だって言ってんじゃーん! ほれ行くぞ!」
『え、ええっ!』
「良いから♪ 良いから♪」
一度こうと信じ切ってしまった事柄を容易に覆せないのはよくある事だ。
それはニンゲンだけでなく知恵ある獣、魔獣であっても変わらないらしい。
そんなドグマに囚われたパダンパは、レイブの説得にも中々首を縦には振らなかったのだ。
しかし、考えを纏め終えたレイブも又頑固で一徹なリーダーとしてのワンマンさを有している。
会話の途中でパダンパの背中に両手を掛けたレイブは気楽な調子で相槌を返しながら、得意の怪力でひょいっと逆さまに持ち上げると、スキップを踏みながら溝の内側に穿たれた岩の階段を登りはじめたのである。
『ちょ、ちょっと、下ろして下さいよぉ』
「良いからっ♪」
最初こそバタバタと暴れて抵抗を見せていたパダンパであったが、程無くすると大人しく背を丸めてレイブのするがままに任せる事に決めた。
背中を通して伝わってくるレイブの恐ろしいまでの膂力に抗っても無駄だと悟ったからである。
頭の上に持ち上げた荷物が持ち易くなった事で、鼻歌交じりのレイブは更に足の運びを早めて行く。
あっと言う間に階段の上部に辿り着くと、地上でギレスラのブレスを喰らったのだろう、元バイコーンだっただろう黒い塊が、燻ぶりながら降り注ぎ続けていて不快極まり無い状態になってきた。
レイブには幸いな事に傘代わりのパダンパがいてくれたお蔭でこの汚い煤を避ける事が出来たが、それを持たないパダンパはさぞ気持ちが悪かった事だろう、同情を禁じ得ない。
背中をしっかりと掴まれて持ち上げられ、上から落ちてくるモンスターの焼死体はさぞかし不愉快だったらしく、唯一自由が利く尻尾を激しく振って顔面をディフェンスするパダンパ。
これがプロペラの様に進行方向に残っていたバイコーンたちを叩き落とす結果となり、レイブの声は更に愉快さを増す結果となる。
「おぉやるじゃん! その調子♪」
『おじさん、一回、ぺっ! お、下ろして、ぺぺっ! おえっ!』
「大丈夫大丈夫! ほれ、もう着くぞ」
レイブの賞賛の声にも、パダンパは照れてでもいるのかくぐもった声音である、奥ゆかしさが窺える。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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