【2090話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
2090.失われしレイブ
自嘲気味に溢したペトラの笑みに、こみ上げてきた涙を拭って答えるラマスの声には、必死に絞り出した決意が込められている。
「気持ちは判る、ううん、ラマスなりに理解出来てるつもり! だけど、ここにいたって仕方ないじゃない! 辛くたって苦しくたって寂しくたって、前に進まなくちゃ駄目なんだと思う…… その為にはウラジオストクを目指さなくっちゃっ! もうここには何も無いんだからっ!」
出来損ないのマリオネットみたいに首を戻した竜と豚は口々に言う。
『ここに?』
『何も無い?』
キョトンとした表情にまるで腑抜けた様に気の無い言葉、ラマスの返事は正に口角泡を飛ばす勢いである。
「そうよっ! ここにあるのは残滓だけよっ! 虚しく留まっても何にもならないじゃないっ! ギレスラっ! ペトラっ! 貴方達にとって大切で掛け替えの無い存在を救う術はウラジオストクにしか無いのよっ!」
『う、ウラジオストク……』
『そこに行けば…… す、救える?』
「そうっ! ウラジオストクの入り口を見つけてそこから救うのよっ! 掛け替えの無いラマスのダーリンをっ!」
『ダーリン?』
『えっと、それは?』
「誰って…… ダーリンは叔父様、レイブ・バーミリオンに決まってるじゃないっ!」
『れ? レイブ? うん? さて、誰であったか?』
「えぇっ!」
『レイブレイブ…… はっ! ギレスラお兄ちゃん、どこかで聞いた事があるわよ? 確か…… デスマンの双子? じゃなかったかしら?』
『お、おぉそう言えばそうだった気もするのだ…… で? その、レイブさん? が我にどんな関係があると言うのだ? ラマス?』
「う、嘘、でしょ……」
ラマスは戦慄を覚えていた。
遂、数刻前までウラジオストクを目指すと大声で叫んだばかりの二者が、肝心要のレイブを記憶から欠損させてしまっているではないか。
察するにここまで話していた内容、竜と豚はレイブ以外に対象を言っていたのであろう、多分だがしすさんだな……
ネタバラシ的に言ってしまえばこれは禁断症状、所謂、離脱症候群と呼ばれる特定の対象が欠乏状態に陥った場合に見られる精神、身体共に非常に不安定な状態なのである。
オーディエンスの皆さんの時代では、アルコールやらタバコやら、各種向精神薬からステロイド剤、果てはSNSやら甘味やら推しやらゲームやら性的な偏向的嗜好まで…… 失う事で様々な不都合を生じてしまっていたアレである。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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