【1921話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
1921.ギレスラ、修羅に入る
小声で謝罪の言葉を繰り返すペトラの耳に、命令者ギレスラと仲間達が交わす声が聞こえる。
『あれ? 今、ルッカ起きたんじゃないの? また眠っちまったのか?』
『…………ああ、その様だ、な』
『珍しいっすね? いつもあんまり眠らないんすけど?』
『…………疲れたのでは無いか? ほら、今日は色々あったからな……』
『なるほどぉ』
『そっすねー』
『…………そうさ』
自分のスキルで酩酊させた事に気が付いていない親子の声、何故かホッとした気分のペトラの耳に、今度は倒れたグラムランドのうわ言めいた呟きが届く。
『うぅ、さ、寒い、う、うぅぅぅ』
『あっ……』
ほんの小さな声であったがそこは近習の一員、地竜ヴァミスが耳聡さを発揮する。
『あれ? 今、竜王様が何か仰ったのでは無いかな?』
反射的にペトラは返す、きっと罪悪感とかのせいだと思う。
『あ、うん、さむ――――』
『暑いんだそうだ…………』
『えっ? ぎ、ギレスラお兄ちゃん?』
『暑い? そう仰ったのかい?』
『ああ、間違い無いのだ…… パダンパ、水でも掛けてやるのだ……』
『あ、はいっす! 水かぁ…… 竜王様寒がりっすからねー、こんな事初めてっすよ』
『そうか………… あっ、パダンパ、ついでに顔、な? 上向き、仰向けにしておいてやるのだ………… 竜はそっちのが横向きより良く眠れるのだ…………』
『あ、そーなんすね! 了解っす』
『…………ああ、そうだとも』
『っ!』
ペトラは戦慄と共に思った、殺りに来ている、と。
威勢は良いがその実は用心深く、時々は臆病さすら感じる兄がガチだった、ペトラは改めて性格の二面性に触れた気がした。
善でありながら悪をなし、優しさの中に惨さを、協調を好みながらも孤独を求める、凡そ魂とは理不尽なままに自由で活殺自在な物なのだ、そんな風に思いを巡らしていると、不思議に現在死に向かっている、正確には自らが手を下した竜王の事が、酷く矮小で無意味な出来事に感じられて気持ちが楽になっていくのを実感出来た。
直前までの重苦しさから解放されて、どこかウキウキとすらしたご機嫌ペトラに兄の呟きは続く。
『ペトラ、次はアイツ等だ…… 出来るな?』
『え、あ、は? あ、アイツ等? それに出来るって、な、何が?』
ウキウキは一瞬でドキドキ、そして間を置かずバクバクへと変わった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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