見出し画像

【1888話】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1888.地竜ヴァミス


 長生きな私が年相応にヨボヨボの老婆心に思いを馳せていると、レオニードは慣れ親しんだ林を抜けて目的の場所まで辿り着いたらしい、竜王御用達スパの裏口である。

 多分、こっちには来てないよな?

 そう思いながらも用心深く、最後の茂みに身を屈めて様子を伺うレオニードである。

『あっ、親父、ヴァミスさんだよ!』

『し、シーッ! 静かにっ! 見つかるじゃないかっ!』

『え? ああ、ごめん! シーなシー! でも何で?』

『何でってそりゃお前――――』

『帰って来たのかパダンパ! それにレオニード…… お前、クビになったんだってな…… 今度は何しでかしたんだよ……』

 ヴァミス、直訳すればミミズだがそう呼ばれた地竜は濃灰のうかいの体に短い四肢、太く長めの首を伸ばしてレオニードの頭上から話し掛けてきた、例の如く申し訳程度の小さな両翼も灰色だ。
 そしてレオニードが何度かクビになっているらしい新事実、転じて竜王が再雇用とか容認している事も明らかになった、意外に懐が広い王様の様だ。

 あっさり見つかった事が余程恥ずかしかったのか、レオニードは無意味なそっぽを向いて返す。

『何をっ? 逆に聞くがお前は今度のハタンガ出兵っ! 何も思う所が無いのかっ? お前だって地竜の頭の独りだろう?』

 ほう…… 何やら政治的な齟齬そごでもあったのだろうか? 聞いてみよう。

『ふうん、思う所、か? まあ無くはないがね……』

 否定でも肯定でも無い返事、地竜だけあって落ち着いた、所謂いわゆる、地に足が着いた感じの返しだな。

 にしてもこのヴァミスが地竜のリーダーか…… 実力は量り様も無いがパッと見た所、全体にタフそうな太目な体付き以外、特に優れた個体には思えないのだが……
 大きさ的にはギレスラ以上メルルメノク以下、懐かしいガイランゲルの巨体みたいな特徴は見られない…… 変な言い方だが、普通のドラゴン、だ…… そうか、あの兄弟も地竜だったな? アレ、特殊個体だったんだなぁ。

 兎に角、ゆるりとした返しを自分の言葉への肯定と取ったレオニードは果敢に続ける。

『だろう? 只でさえ食料不足に喘ぐ現状下、民の窮乏は誰の目にも明らかではないかっ! だのに今、ハタンガっ? 得られる戦果も不確かなまま、今日以上の負担を民に強いる? 抗すは当然だろうっ? せめて、せめてっ、それ位の行動は起こして然るべき義挙では無いのかぁっ!』

 ふむ、なるほどな…… 為政者の名誉欲から民草が塗炭とたんの苦しみに曝される、有史以来繰り返して来た愚かな過ちだろう…… 義憤に駆られたレオニードの諫言かんげんは黒竜のアペプに遮られ昔馴染みで懐広めな竜王に届く事は無く、って所なのだろうか、切ないじゃないかっ。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
Copyright(C)2019-KEY-STU

いいなと思ったら応援しよう!

KEY-STU|小説|イラスト|フォロバ100 励みになります (*๓´╰╯`๓)♡

この記事が参加している募集