【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1707.留守番のニャーン
ここから暫くはラミー…… いや、通称カーミラ、所謂ニャーンに視点を変更した上でお伝えさせて頂く事としよう。
――――我が君、バアル様が旅立たれて早一月が過ぎたけど…… 果たして首尾の程や如何に?
そう気楽な半目で微睡み掛けた領主館三階出窓での日当ぼっこの最中、視界に映ったのは領都の大門を潜り大挙してこちらに丘を駆け寄ってくる数千のドブネズミ、そう、ここ数十年、ニュルンベルクに巣食っていた病魔の根源、ブルーカ達の薄ら汚れた姿であった。
カーミラは身を起こしつつ思う。
――――あれは…… そうかっ! リヒテンシュタイン城の地下牢にいたネズミ達、か! って事は先頭のシロネズミがあの娘、よね…… 無事、解放されたのね、流石はバアルバアル様! この分なら残る一人もあっと言う間にぃっ!
感謝の対象は赤の他人な人違いのままであったが、サタナキアが施した救世の御手に感動一入なカーミラは、程無くこの時の予想がとんでも無く見当違いであった事を知る事となる。
何故なら、次の好首尾の報せ、クルムバッハが濃密な霧に包まれた日はこれより六年後、街の住民達は勿論、当のカーミラすら、
「バアル(勘違い)? 誰だったかにゃーん?」
とか思い始めていた頃だったのである。
クルムバッハの領主館に辿り着いた霧は集結して数千に及ぶ人型を取ると、その中央に立った青白い顔をした男は厳かな礼と共にカーミラに告げた。
「御機嫌良う、カーミラ! いいえ、ミーカラでしたか? うん? ラーミカ、か? まあ、名前などどうでも良いですね…… さて、ミーラカ姉様! 我が君、バアル様は今しばらくお戻りになれないそうでございます、ふふふ」
カーミラは首を傾げて問い返す。
「そうなの? でもおかしいわね…… バアル様にはドブネズミとアンタ、ヴラドの事しか伝えていないんだけど? アタシ」
意味有り気な笑みを浮かべてヴラドは返す。
「ラーカミ? 全ては我が君、バアル様がなされる事ですよ、神の御手です、ウフフフフ、ウフフ」
「そうなの?」
何があったかは知れないが、どうやら相変わらずサタナキアはバアルのままで活躍中らしい。
ついでに言えばカーミラの呼称、所謂なまえについてだが、ここらで一つ注釈を入れさせて貰わなければなるまい。
ここまで便宜上、嫁入り途中の襲撃、故郷を襲った悲劇や錫人形への変貌、彷徨った挙句のサタナキアとの出会いまで、カーミラの名前で呼び続けた彼女、現、彼の猫には固定された名前は無い。
無いと言うよりバアル(本物)に怒られた際、奪われたままだと言う方が正しい表現なのだろう。
バアルと言う魔神は、何故だか知らないが罰を与える際に、対象となる相手から名前を奪うのである。
何故? さあ…… 兎に角奪う、そうなのだ。
奪われた相手、ここではカーミラ、ヴラド、ブルーカのリーダーの巨大ネズミはなんちゃっての呼称、所謂ニックネームだけで呼び合う事になる訳だ。
観察をご紹介する際の判り難さ回避の為に、親切な私、カーリーが置き換えさせて頂いていた事をお知らせして置こう、礼には及ばない…… まあ、気にしないで♪
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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