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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1345.魔猪


「ペトラぁ、おいおい、止めてやれよペトラぁ」

 レイブが麓に戻った時、ペトラは荒れていた。
 正確には荒れ捲り猛り狂って一頭の魔猪と化していたのである。
 レイブにたしなめられて一旦は忘れていたであろう、獣人たちへの怒りはその瞳を憎しみの真紅に染め抜いて、今正に復讐の炎を宿していたのである。

 自ら運んで来たダソス・ダロスの巨体を迎賓館前の広場に下ろした直後、無言のまま横に並んでいたミロンに頭からの突撃、所謂いわゆるパチキを見舞ったのだ。

「ぐあぁーっ!」

 一撃で吹き飛ばされ、立ち並んだ住宅街の屋根を越えて行くミロン。
 同じく近くを歩いて輸送作業を見守っていた、ミロンの相棒、狼の獣人で狩猟部隊のリーダー格、ブロルが抗議の声を上げる。

「ちょ、ちょっと何なんですかペトラさん! いきなりパッチギってぇ! 酷いじゃないですかぁ!」

 当然過ぎるこの主張にペトラが返したのは言葉ではなく荒さを増した鼻息であった。

『ブフッ! ブヒィッ!』

「キ、キャンッ! ギャンっ!」

 迎賓館の壁に叩きつけられたブロルは短い悲鳴だけを残して、そのまま糸の切れたマリオネットの様にグッタリと力なく崩れ落ちたのである。
 周囲の様々な種類の獣人達がざわめき恐れおののく中、未だ興奮冷めやらぬ魔猪ペトラは体勢を低くしたまま後ろ肢で地面を激しく蹴り上げながら、ギラついた目で次の標的、犠牲者を品定めしているようだ。

 そこで掛けられた兄の声にそのままの姿勢で振り向いたペトラの照準は、レイブの後ろを追ってきた獣人の一人、蛇面のシュカーラを捉えて動きを止めたのである。
 見つけた、そう言わんばかりの狂気に満ちた殺意の視線だ。

『ブフォォーっ!』

「えっ、ええっ? うわあっ! お、お助けー!」

 狙うべき的を捉えた猪の初動は予備動作無し、所謂いわゆるノーモーションだ。
 至近距離からの無呼吸での瞬発的な突進を避ける事は普通であれば不可能とされる。

 だがシュカーラとても一部隊を預かるリーダーの一角、並みの身体能力では無かったらしい。
 瞬時に肉薄したぺトラの体を、その身をクネっと捩る事によって紙一重、そのまま近くにあった木の梢に取り縋ると、どうやっているのか手足を使わずにスルスルと這い登り、樹上の枝に巻き付いてから荒い呼吸で目を剥いている、飛び出した先割れの赤い舌の見た目もまんま、まるで蛇である。

 考える前に体が動くといった点では、攻守の差こそあれど、ぺトラと同じタイプ、所謂いわゆる、無意識で反応するホクト的な無想なんちゃら能力持ちなのかも知れない。
 種族特性だから、そんな風に片付けられない、それこそ並大抵ではない相応の努力の結果だろう。

 その証にシュカーラの取り巻きで周囲に立っていた、シマヘビ的な奴やヤマカガシ風の二匹、いや二人はぺトラの突進を避け切れずに左右に吹っ飛ばされ、一番後ろから来ていた大柄な個体、アオダイショウっぽい二メートル越えの女性狩人は受け止めようと腕を広げた姿勢のままで押し倒されて、鋭い巻角の先端を喉元に突き付けられていたのである。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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