【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1686.急変
骨共もお礼の言葉のオンパレード、中々に賑やかである。
一転、里全体が静まりかえった。
消え去ったのは音だけでは無い。
一瞬前まで喜んでペコペコ頭を下げていたイザベラと従者の骨達、彼等だけでは無く周囲に整列しながら心無く感謝を口にし続けていた骸骨兵達も、皆忽然と姿を消していたのである。
この場に残る人影は慌てて周囲を見回しているハスドルバルと何故か落ち着き払って姿勢を正し蝶ネクタイを整えているハミルカル、後は長いすから真上を見上げ戦慄きつつ失禁をしているカーミラだけであった。
勿論、バアルもそこに存在していたのだが、それは既に慈愛に満ちた聖女の姿では無かった。
濃灰の体は見上げる程に巨大に変じ、同色のローブから覘いた顔や上半身は飢えた亡者の様に痩せこけている。
反して双眸だけはギラギラとした輝きを放ちながら忙しなく蠢き回り、ローブの裾から飛び出した下半身は上半身に倍する毒々しい蜘蛛の体に置き換えられている。
周辺に充満した濃密な魔力は既に瘴気の類だ。
ここに残っているのが悪魔やモンスターで無く普通の人間や動物ならば、とうの昔に気が触れてしまっている事だろう。
我々悪魔がリラックスタイムでのみ見せる本来の姿ではあるが、一体何故だ? まさか話が纏まったからってチルった訳では無いだろうし……
事態の急変、その理解が追いつかないのかハスドルバルが呟きを洩らす。
「こ、これは! い、一体……」
キチンとした親父、いや魔王ハミルカルが嗜める。
「落ち着かんか、この愚かな息子めがっ!」
「お、親父?」
「我が神、バアル様が御姿にて御顕現召されたのだ! さあ、早く居ずまいを正し畏まれ! 御業が為されるのだ!」
「あっ、は、はい!」
ハスドルバルは慌てて父親の後ろに直立だ。
無視される形になってしまったカーミラは流れ落ちる粗相の滴を気に掛ける事もせず、と言うよりも眼前の巨大な化け物から目が離せない恐慌状態に陥っていた。
全身が金縛りに会った様に硬直し瞬きさえ出来ない中、自然に動く上下の歯が小刻みに振動して鳴るカチカチといった音だけがやけに大きく聴覚を埋め尽くす。
バアルのスキル、『弾性消去』が全ての音の伝播を阻害させた無音の空間に、人の理解も物事の理も超越した声音が響く、神の声だ。
『歪で醜く、世界を穢すだけの腐肉の塊…… 欲深く浅ましくも生に綿々と縋るだけの飢える色狂いの高慢な俗物が…… 愚かさ故の過ちならば滑稽さと憐れみで赦しをくれてやろうと思うたが…… 貴様は許されざる罪を犯したのだっ! 断じて看過出来ぬ大罪を、だっ!』
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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