【2053話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
2053.完勝
『今回は危なげなく勝ったのだ♪』
『そうね、流石はレイブお兄ちゃんね♪』
ん? シュカーラvs狗賓はそんな感じだが、全体的には一進一退、まだまだ予断を許さない状況に見えるが……
「戦意喪失、ね」
ガトの言う通り、鏡面が映し出した戦場の天狗達は次の瞬間に揃って得物を手放したのである。
木の葉天狗は金剛杖を、烏天狗は太刀、狗賓も見るからに希少そうな宝剣を地面に下ろす。
理由は直ぐ判った。
いち早く再生したレイブが大天狗の上半身を、シュカーラが下半身を押さえ込み、剥き出された魔核にゼムガレを突きつけながら、なにやら周囲に叫んでいるからだ。
音声が無くて良かった、どうせ悪辣な事しか言っていないだろうし、事によったら耳が腐るかも知れない。
手下のカッパ共も良くした物で、類友か朱赤か知らないが、ニヤニヤしながら落ちた得物を拾って無抵抗な天狗に押し付けたりしている、最っ低ーっ!
上半身だけの大天狗は手下が代わって人質になった事を受けて項垂れ、静かに羽団扇を差し出す。
黙って受け取りニヤリとほくそ笑むレイブ、完全にヒールのそれだ、ちょっと憎しみを感じる。
他の天狗も腰帯に指していたヤツデやカエデの枝なんかを差し出している、泣ける。
『完全勝利、やったのだ♪』
ギレスラの言葉と同時に片手を挙げ勝ち鬨(無音)を上げるレイブ達、足元では天狗の頭を土足で踏みつけながらだ、死ねば良いのに……
ここで、楽しい観覧時間は再び時間切れとなった、なんかモヤモヤする、気分が悪い。
魔力の充填は毎回必要では無いらしく、いそいそと再起動に向かうぺトラと、さも嬉しそうに今見たばかりの光景、残虐な惨劇を褒め称える観客達…… なるほど、暗黒時代の名に恥じぬ有様だな。
だがしかしっ、観察とは言え鏡越しだし、対象者の意図まで判る経験なんか望むべくもない状態だ。
若しかしたらレイブの悪逆非道な行為にも何か深い事情や考えがあっての事かもしれないっ、若しかしたら、万が一、億が一かもだけどあるのかも知れないっ! そうであってくれ、頼むっ!
私、観察者の願いを他所に、今の所そんな感じは毛ほども無いまま観察は続き、程無く動画鑑賞も再開された、ちきしょう。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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