【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1523.暗躍
割と長身のシュカーラが手を突いて頭を下げ、グログロが震える二足立ちで肩に手をポンポンやっている姿は何とも微笑ましい絵面である。
それを見ていたレイブは胸元から小さな石を取り出して力強く頷いている。
良く見ればかつて野営の夜にアスタロトがスリーマンセルに渡したモンスターの魔石、例のレイブだけ吸収も充填も出来なかった手慰みの品である。
そしてこちらにも聞こえる位の微妙な小声で、吠えろ、だとか、今すぐだよ、だとか隣のギレスラに言ったりしている。
考えている事は具体的には判らないが、何だろうが恐らく失敗するのではないだろうか? 勘に過ぎないが、吠えると判った上で吠えて貰った所で上手くいかないんじゃないかな? 多分だが。
『レイブ師匠、どうかされましたか?』
こちらには流暢なグログロが不審に思った様だ、微妙にうるさいから仕方無いだろう。
「お? な、何でも無いぞ、気にしないでくれ! 又後でなギレスラ」
『判った、吠える時は指示してくれ』
「おう頼むな」
だからそれじゃ駄目だと思うぞ?
哀れな師匠たちには気が付かないままでグログロは四つ目の食べてはいけない食料について話し出している。
話も半ばだと言うのにシュカーラの驚く声が遮る様に響く。
「では『馬鹿』の対象者には枯れ草だけを食べさせるのですか?」
「むむ?」
『枯れ草、だと……』
聴覚に魔力を全振りしている師匠連中もこっそりどよめく中、グログロの説明は続いたのである。
『うん、植物なら比較的大丈夫でちけど、出来れば枯れ草が一番、次が干し草でちね、果実なんかもたまにだったら与えてもいいのでちよ、勿論良く日に干してからでつけどね』
「草に乾燥果実? 植物食ばかりですね…… 肉や魚は? そちらも何か加工が必要だったりしますか?」
ズタ袋に黒炭でメモりながら聞くシュカーラに答えるグログロの声はレイブ達に向ける流暢な物に変化すると同時に、どことなく内包される力強さには凛然とした物が増えて聞こえる。
『肉や魚ぁっ? 駄目駄目っ! 生命力を多く含んだ食べ物は禁物、もっての外ですっ! そもそも生命力、つまり魔力を取り込ませないために植物食をさせるのですからね? それもなるべくカットする為に干したり枯らしたりするのですっ! 判りますか? 肉なんて絶っ対、駄目っ、ですっ!』
「あ、はい、判りました」
シュカーラが慌てて答える声より少し早く、少し離れた場所で食事中だったダソス・ダロスとキャス・パダンパの手から、握っていた干し肉が宙空に舞い上がった。
レイブが投擲した小石が狙いを過たず肉自体に命中したのである。
『あれ?』
『あ? 肉が……』
飛び上がった肉を見上げる二匹の視界に超高熱の熱線が発する煌きが映る。
カッ! チリチリチリ……
干し肉だった物は一瞬で姿を消して二匹の手元には昇華の残滓、僅かな煤だけが舞い降りている。
愕然とした二匹が見つめる先ではそっぽを向いて口笛で変なメロディーをピーピー吹いているレイブと意味は判らないがニヤリとほくそ笑みながらこちらを見つめ返すギレスラの姿があった、見るからに犯人である。
ダソス・ダロスの大きな喉がゴクリと音を鳴らした。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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