【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1300.生業
どれほどの時間が経過しただろうか。
皆さんの感覚ではほんの僅かな間だったかもしれない。
実際、この場に時計やそれに類似する計測機械が存在したとすれば、作業時間は一時間に満たなかった事が確認できただろう。
しかし、成り行きを文字通り息を飲んで見守り続けていたガトには、無限とも思えるほどの長い時を費やした、精緻で繊細な救いの御業、レイブ達スリーマンセルの施術がそう映っていたのである。
ハタンガで暮らしていた幼い時分にも、既に魔術師の存在やそのスリーマンセルの仕事については聞き及んではいた。
石化したニンゲンを死の淵から救い出し、魔獣の肉体を破裂させないように世話をして、竜種の体を健康な状態に維持する。
その作業で得られた物を使って、人々にさまざまな道具や薬を拵えては年に数回、里々を巡って色々な物品と交換して回る放浪者。
里で暮らす人々にとって無くてはならない存在だとは理解しつつも、どこか不気味な存在だと感じていた物だった。
野や山に住み暮らし、魔獣や竜、それに助け出した人々とだけの生活は酷く歪に思えたのだ。
それも、多くの場合年端のいかない子供を連れ回し、聞けば弟子として養育していると来れば、もうそれは人攫いと同義では? そんな風に考えざるを得なかった。
野人や世捨人、普通のニンゲンよりも寧ろモンスターに近い存在なのだ、そう理解していた筈の魔術師の挙動を、ガトは美しいとさえ思い、そして目と心を奪われたのである。
同時に彼女は別の事に付いても気が付いていた。
――――魔獣を獣奴、ドラゴンが闘竜と呼ばれる理由はこれだったのね!
作業が始まって以来、豚猪のペトラは忙しく立ち回り続けていた。
巨大な皮袋を持ってレイブの後ろを付いて回り、時には自分の十数倍はあるだろうダソス・ダロスの体を、牙に乗せて持ち上げたりもしている。
かと思えば、血の溜まった皮袋を新たな物と器用に交換して見せたり、僅かな作業の合間に赤い粉薬と水筒をレイブに渡していたりもするのだ。
その姿はまるで、主人に甲斐甲斐しく仕える事を喜びと感じている、忠誠心溢れる部下の様であった。
獣奴の呼称はあの働く姿から付けられたのだ、ガトはそう確信したのである。
闘竜のギレスラも同じである。
戦闘力と機動力に長けたドラゴンはチームの用心棒、若しくは索敵や奇襲を担っているのだろう、それまでガトはそう思い込んでいた。
実際、ハタンガで世話をしてくれた大人たちも、最近まで共に暮らした悪魔達からもそう教えられていたからである。
ところが今、目の前のドラゴンの動きはガトが思い描いていた物とは大きく異なっていた。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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