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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1151.戦い方


 レイブの全身にも顕著な変化が起こっていた。
 先程、アル・マハラージを模していた時には青みが強かった魔力のオーラが、今度は一転して赤に寄った紫、一見すると鮮血の如き物に変わって両手と剥き出された口角の辺りに集中し始めている。

 先生は口元を歪ませて言う。

「アル・マハラージの次は熊、ブラッディベアか! 質量とそれに裏打ちされた突進力が彼奴きゃつの強み、だが如何に巧みにモンスターを模したところで目方までは変えられんぞ? 良かろう、受けてやる! 我が鎧、貴様の膂力りょりょくで砕ける物なら砕いてみよっ!」

「グジュルグジュルッ! ヴァバオオオオォォォォッ!」

 成り切り過ぎたせいだろうか、先生が話すニンゲンの言葉は、既に怒りに支配された狂熊には届いていないかに見える。
 涎を撒き散らしながら叫ぶレイブの迫力は、サイズこそニンゲン時代のままであったが、受ける圧的には巨大熊、皆さんの時代風に言えばOSO30位には感じられる、とんでもない化け物、それこそ魔王である。

 足掛けで十二年か…… そこそこ長い間観察を続けて来た私、観察者であっても引くレイブの豹変である。
 小さい頃はそれなりに可愛い子だった筈なのに…… 何でこんな、くっ! である。

 だと言うのに、見目麗しい銀色の先生は平気の平左、そんな風情で化け物に語り掛けた、凄ぇな。

「さあっ来いっ! 見せてみろっ、貴様の蛮力をぉっ! お? おおおぉっ! ヴァッアッアッアアアァァァァァッイッイッイッイイィィィィッッッ!」

 覚悟を決めた言葉に合わせて、一層濃密に魔力を集中させた前面、ではなく、無防備になりつつあった背面を仰け反らせて倒れ込み、地面でのた打ち回る先生。
 背後では、彼の背を襲ったであろう稲光を二本の尖角の間に収束しかけたギレスラの悪そうな笑顔が際立っていた。

「ひ、卑怯な――――」

「止めろっ! 手を出すなと言ったじゃないかっ! 俺に恥をかかせる気なのかっ!」

「っ!」

 上がり始めた非難の声を、レイブが発した更に大きな叱責が打ち消した。
 再度意外そうな表情で振り返った銀色の鬼神は今度は驚愕に目を剥く事となった。
 なんと視線を送った先のレイブは、戦いの最中だと言うのに構えを解き、直立したばかりでなくあまつさえ視線を落として丁寧なお辞儀をして見せたのである。

 簡単に言えば、隙だらけ、そんな状態のまま言葉を発する。

「俺の仲間が真剣勝負に水を差してしまった…… 恥ずべき行為だ…… すまなかった、この通りだ」

「………………」

「無論、正々堂々と雌雄を決する為に、その背中は治療させて貰おう! ペトラっ! 患部を良く確認させて頂いてから『回復』スキル、『回復スキル』を頼むぞ! ゴホンッ、『回復』だぞ?」

『了解したわ!』

 ダッ! ドドドッ! ひらり……

 怪我を負った鬼神の背中を見ようと、勢い良く全身で駆け寄ったペトラの突進を、軽やかなステップでかわした銀色の男前は、レイブに対してじとっとした視線を向けている。

『ごめんレイブお兄ちゃん、ペトラ失敗しちゃった……』

 目標を見失ったペトラはレイブの目の前まで来て大きな頭を下げ、その頭上でバッタが慰める様に手足を撫で付けていた。

 レイブは少しうろたえ気味に返す。

「だ、駄目じゃないかペトラ! 慌てて突っ込んだりしたら危ないだろう? 鬼神さんが避けてくれたから良かったけど…… 次からは気を付けなくちゃいけないよ? 良いかな?」

『うん』

「………………」

「ご、ごほんっ! じゃあ、改めて! 治療の為にお背中をご確認させて頂きなさい、ささ、迅速に!」

「いや…… 結構だ…… 幸い自己治癒能力があるんでな……」

「あーそーゆー……」

 先生の視線はジトリ感を増し続け既にマックス状態、所謂いわゆる氷点下にまで下がっている。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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