【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1657.ベラの帰還
二日後、元の領都、今や命の気配がすっかり失われた場所に一人の女性が辿り着いた。
体のそこかしこに損傷を抱え、八割方崩れ落ちた顔面は兎も角、あちらこちら破れ返り血で穢れたメイド服には、かつてここにあった屋敷で働いていた頃の名残りがほんの僅かだが窺い知る事が出来た。
「これは、一体……」
メイド服の女性、ベラは変わり果てた周囲を見回して思わず洩らした。
あの日焼け落ちた街や領主館は捨て置かれたまま、勝利者である侵略者の陣や兵の姿はどこにも見当たらず、かと言って荒れ果てた場所を片付けようと働く民すらどこにも集まってはいない。
それだけで無く炊煙は勿論、人が生活で鳴らすであろうあらゆる音、破壊を嘆く嗚咽や慟哭、啜り泣きや恨みを込められた苦々しげなしわぶき一つ聞こえて来てはいないのだ、既に説明した通り、まるで命が気配ごとすっかり消え失せてしまった様に感じさせる所以である。
命の気配は無い。
しかし動く物がいない訳ではない。
数こそ少なくちらほらとしか存在しないが人らしき物は通りや広場を歩いているのだ。
揃ってやせ細ったそれらの瞳は虚ろに濁り、何の目的も無いのか只々とぼとぼと力なく歩き続け、塀や立ち木にぶつかるまで真っ直ぐ進み続け、叶わぬと悟れば方向を変え再びとぼとぼと歩き始めるだけ…… こちらからも生気の欠片すら感じ取る事は出来なかった。
更に妙な事に、本来人里で姿を見ることは無いシャモアがそこら中を自由に歩き回っているのである。
シャモアはカルパチアの高山で暮らすカモシカの仲間である、不自然さについて詳しく語る必要はあるまい。
「何このカオス、でもここ以外に戻る場所があるとも思えないし……」
即座に理解出来ない状況ではあったが、ベラは覚悟を決めると燃え落ちた屋敷があった方向に向けて歩き始めた。
表情を引き締めていた様だが半分以上崩れていたので傍目には別種の亡者が一人増えただけにしか見えなかった。
周囲のヒト型もそう思っているのか、彼女に襲い掛かるような事はせず、相変わらず放心してトボっているだけ、シャモアもそこらの花壇に頭を突っ込んで草なんか食んでいたりする、大人しい物である。
そんな破壊された街跡を歩くベラは体のあちらこちらが酷く欠損していて、片膝と腰をやっているらしく歩を進める度にカックンカックン大きくよろけ、その都度色んな場所から色々人間が落としてはいけない部品が毀れたりしている、寧ろこちらの方が判り易くクリーチャーだ。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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