【2031話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
2031.深手
大きくて逞しいヴァミスは鱗塗れの顔に笑顔を浮かべて小さくてたおやかなステナの鱗塗れな顔に向けて言う。
『それにしても君達の『回復』は大したものですね…… 猛毒のガスの影響だけでなく怪我まで無かったかの様に治すとは驚きました』
猛毒だってさ、コユキの体臭。
ステナは少し照れた様に返す。
「こちらの魔獣は『治癒』ですものね…… 『治癒』は自己の再生力を高め『回復』は遺伝情報に基づいて破損部位を作り直すんです、それぞれ使い所が違いますから優劣はつけられませんよ」
なるほど、鍼やお灸と臓器移植みたいな物か…… 一言に治すっつても色々あるんだなぁ~、私、観察者は旦那同様壊す方がメインだから、ね?
ヴァミスは自分の尻尾を振り返りながら言葉を続ける。
『それにしても凄い、ほら、もうすっかり治ってしまいましたよ? 痛みも無い』
持ち上げた尻尾は少し短くなって先端が丸みを帯びている、判り易く言えばトカゲが自ら切った尾が再生した跡に酷似した感じである。
見ようによっては痛々しい傷跡にステナは申し訳なさそうな表情を浮かべて続く。
「金属板があればその尾も元通りに治せたんですけど……」
『ほう、それは?』
「我々クルン=ウラフの始祖、ユイ様が残して下さったアーティファクトなんですが、今壊れてしまっていて…… シュカーラが直そうとしていたんですけど……」
『そうですか…… それが動けばこの尾も治る、と?』
「はい、我々の『回復』はRNAの情報を根幹としますが金属板はDNAからの遺伝情報をも加味しているみたいなんですよ、ですから途中欠損した部位なんかも治せるんですが、えっと、その尾って先天性じゃないですよね? だとしたらちょっとぉ……」
『え、お? は、はい…… す、凄いんですねぇ』
「アーティファクトなので」
『はぁ』
あれのオリジナルは無機物の機械まで最新式とかにアプデ可能だったからな、そりゃ驚くよね。
『では彼が無事帰還して金属板を直してくれる日を楽しみに待つとしましょうか』
「ええ、本当に」
ヴァミスは少し離れた場所で自分の部下が犬猫似の獣人達と共に警護している鏡面の辺りに視線を移しながら言葉を続ける。
『そいつが彼らの心をも回復させてくれると良いのだが……』
ステナは俯きながら続く。
「心の傷は容易に癒せません…… 特に絆を結んだ大切な仲間と離れ離れになった喪失感、は……」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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