【1979話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
1979.うんちく 其の参
で、セミ。
彼等のホームに暮らしている間、つまり幼虫の時代、発声器を持ってはいないのだ。
理由については例の如く諸説あるのだが、確実に言えるのは必要無いから、これだろう。
セミの幼生は土中で暮らす中、ある種の全能感を得ている。
重く分厚い多重な層に隔たれた住空間では空気の振幅を要する声、音は意味をなさない、通じないからだ。
彼等は視覚すら持たない、鋭い嗅覚と味覚、そして常と違っている異変を感じ取る触覚、言わば、知らないを知覚し逃げる感覚だけを頼りに何の恐怖も感じずに日々を安寧の中で暮らしている。
掘り、空間を確保し、休み、出会った物は取り敢えず刺して飲み、身にそぐわなければ吐いては又掘る、それが彼らが生れ落ちて以降、繰り返している日常なのだ。
なんの不足も無いし、余計も無い…… そうだと思い、信じ、只々繰り返す、それが彼らの世界であり、それが宇宙なのである。
世界にマンユ、生命の根幹で個を成す意思の独立体、魂が宿った瞬間から、進化の種毎に正しいと信じたそれぞれの環境、場所、活動の中で選び抜いたり、後ろ髪惹かれつつも捨て去ったりした結果の全能感である。
自称、霊長らしい皆さんからは信じられない事かも知れないが、地球のあらゆる生命、種族が信じ続けている感覚なのだ、破綻の瞬間まで、ではあるが……
皆さんも思っているでしょう? 人間なら大丈夫、って♪ それと同じなのです。
海水の中なら最強! だとか? 極地では我々こそが主! だとか? 人間は賢いのでつっ! どんな変化にも突出した科学力と応用力、持ち前のバイタリティで対応出来るのでっつ! だとか? 強酸の中ですら生き残れる我等、強しっ! 正に霊長ーっ! とかね? まあ、それぞれの位階では最強なのでしょうね、良かったですね。
さて、それぞれの世界で最強な生物がいる訳で、当然ながらそれぞれを比べる事なんか出来ない。
如何に地上で最強だったとしても、例えば熊も象も素手で絞め殺せるカラーテの達人だったとしても、水の中では息すら出来ない…… 土の中、圧倒的な土圧に曝されては得意の回し受けすら覚束無いのは想像に易いのでは無かろうか? 無論、三角蹴りや昇竜拳なんか望むべくも無い、だって狭いんだから。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
いいなと思ったら応援しよう!
励みになります (*๓´╰╯`๓)♡