【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1710.度重なる災難
サタナキアは老人に歩み寄り、耳を近づけて優しげな声音で促す。
「なあに? 聞いてあげるから言ってごらんなさい、ゆっくりで良いからね」
ヨハン風味の年寄りは濁った目をクワっと見開いてはっきりと答える。
「遅ーよっ! 何やってたんだよっ! ウワーンっ!」
サタナキアの耳はビイィーン! とした。
その後、ヨハンが泣き止んだタイミングでサタナキアの耳鳴りも幾分落ち着いた為、皆でクローバーに腰を下ろして話を聞く事となった。
屋敷を襲った変化はサタナキアの旅立ち直後から始まっていた様である。
とは言え、当初はその僅かな変調には誰一人気が付く事無く、
「なんか最近調子悪いわー、めっちゃダルいー」
位の認識だったそうだ。
しかし、不穏な変化は着実に少しづつ屋敷の人々から元気を奪い続け、気が付けば皆、いつの間にかダイエット大成功、憧れのスレンダーボディを手に入れていたらしい。
やがて、日を待つ事無くスリムブームのビッグウェーブはクルムバッハ中を席巻していった様だ。
この件には、旅の途中で交代したゼッセルマンと兵士長も思い出したらしく手を打って、あーそうだったかもー、とか相槌的に言っていた。
謎の激痩せ、暮らすだけで体脂肪が燃焼する夢の街クルムバッハ、アプローチの仕方次第では案外流行りそうな感じだが、街を襲った変異はそれだけに止まらなかったのだ。
暫らくすると、屋敷の中で原因不明の病気が流行り出したのである。
最初は痩せこけた人々の中に何人か、体の不調を訴える者が出始め、暫らくするとその殆どが寝込んでしまう事態になったのだ。
患者は全身に色取り取りで不自然極まり無い斑点を浮かべ、一日の殆どを熱にうなされて過ごす事となった。
当然、ヨハンは様々な治療方法を探したり高名な医者や、教会に頼んで高位の治癒師を招聘したりしたのだが、どの手段でも患者の容態が好転する事はなく、現在も苦しみ続けている状態らしい。
そこまで話すとヨハンはポロポロと涙を零しながら続けた。
「私の妻もその中の一人なのです…… ここ何年かは起き上がる事も出来ない次第で……」
「お、奥様がっ!」
「なんと…… おいたわしい」
漸くゼッセルマンと兵士長は自分の立場を思い出したようだ。
ってかソレ、アイツ等のパッシブスキルだよね?
それに気が付かないのかサタナキアは質問を重ねる。
「なるほど、尋常な事態じゃ無いわね…… 謎のスタイル改善とビビットな寝たきり患者…… 変化はそれだけなの?」
それだけって…… 結構なピンチだと思うが、こうなって来ると恐らく次はぁ……
「それが、最近は街の中で喧嘩騒ぎや暴力沙汰が頻発しているのです……」
「まあっ!」
ほらビンゴじゃないか。
最後のはヴラドの敵愾心を助長する奴だろうし、最初の激痩せと病気も猫とネズミの仕業だろう。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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