【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1190.諸般の事情
レイブの疑問に答えるでも無く、グフトマの声はまるで独り語りの様に続く。
「ゴブリンはここで生まれ子を為しそして死んで行くんだよ…… 外界に出る事も知る事も無くね…… 無論、ゴブリン同士以外との恋愛や友誼なんて有り得ない…… 鬼神として生まれ変わった私はその全てを見守る事が仕事なのさ」
『鬼神の仕事、って……』
話し方と言うか、真剣そのものの表情とシンクロした真摯な話し方、静まり返った空間にペトラの声だけが響き、グフトマは答える様に話し続ける。
「私はここ『小人の隠し穴』で起こる全ての出来事を見守る…… それが温羅、王丹両鬼神から引き継いだ私の役目…… この地下の小さな世界で育まれた秩序と日常を守り、決して変えさせない為の管理者…… それ以上でもそれ以下でも無い、只それだけの…… いいや最低最悪の無力な存在、それが私なんだ」
「た、太師匠?」
「グフトマ様! 鬼神の加護、その御力は我々ホブゴブリンが常に身近く感じ続けています! グフトマ様の責務の重さはそのまま我々にとっての救いに他なりません! 無力などと…… 嘆かないで下さいませ」
「そうです! 我々はグフトマ様のご判断と命令に従います、喜んで!」
「鬼神である貴方様こそが秩序です! 我等は先祖からきつく言い付かっております故、どうかお心を痛める事無く、グフトマ様の思いのままにご指示下さいませ!」
「その通りです! お心のままにっ! レンジャーっ!」
「「「「「レンジャーっ!」」」」」
「お前達……」
なにやら尋常ではない屈託を抱えているようだ……
そう判断したペトラとギレスラは口を噤み、レイブはこの後の仕事の為に大切な事の確認を始める。
「ところで太師匠、この穴の中って綺麗なお水とかあるんですかね?」
「ん? 水か、どうして?」
「いや、ちょっと喉渇いたかなーって」
うん、あれだろうな。
草の山を片付けて掃除した後、汚物の痕跡を洗い流す為、とでも考えているんだろう。
話の流れも何もお構いなしのレイブに対してグフトマは親切に説明してくれる、優しい。
「飲み水だったらあそこの壁の裏、一段高い場所から湧き出ているぞ」
そう言いながら指差した先を見つめつつレイブは軽く礼を述べる。
「あ、そうっすか、アザス」
「ああ、只気を付けてくれよ? 大精霊サルガタナスの恩寵で湧き出ている不浄のアルペイオスの泉だからな、汚したりするとこの穴中から清水が失われる事になってしまうんだ」
「うっす、気を付けるっす!」
判っているのかいないのか又もや軽く答えたレイブに代わってペトラが言葉を発する。
『ねえ、そろそろお開きにして休みましょうよ、アタシ眠たくなっちゃったー!』
ナイス! 些か不十分では有るが話の流れが重くなくなった今がチャンスだからな。
ホブゴブリンもグフトマも、勿論レイブもだが異論が無かったようでこの意見通り宴は終りを告げるのであった。
久しぶりの草以外の食事が余程嬉しかったのか、グフトマとホブゴブリン達は何度も礼を言ってから、それぞれの臥所へと入って行った。
レイブ達にあてがわれた寝所は少し離れた洞穴であった。
先程確認した男女別の洞穴に比べれば随分狭いものの、縮んでいるスリーマンセルが身を横たえるには充分な広さである。
ギレスラとペトラは居心地の良さそうな一角に伏せると、早速寝息を立て始めたようだ。
耳を澄ましたレイブにはホブゴブリンやグフトマが遠からず寝静まる事が窺い知れた。
――――さて、一仕事だ……
目が闇に慣れ、足音を忍ばせた一つの影がこそこそと草の山に向かって移動し始めたのは、それから随分経った深夜の事であった。
夜行性なのか、閉じ込められたゴブリン達の光る目だけがギラギラとその様子を追い掛けていた。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
Copyright(C)2019-KEY-STU
いいなと思ったら応援しよう!
励みになります (*๓´╰╯`๓)♡