【2043話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
2043.尻こだま
「え、じゃあレイブ……」
『うむ、下手をすればあの数を独りで相手せねばならんのじゃ』
「そ、そんな……」
一対一で決着をつける、古代から綿々と続けられた合理的な争い回避術、その実、数による暴力礼賛儀式だった相撲の真実を垣間見たガトは言葉を詰まらせる。
これにはここまで一観覧者を気取っていたアナザーメンバーも黙っていられない感じで次々に発言する。
まずはペトラである。
『負けたらどうなるのかしら? ここまでレイブお兄ちゃんは相手を倒したっきり何もして来なかったけど……』
カメムシ即答。
『うむ、恐らくだが尻こだまを抜かれるんじゃろうなぁ、カッパじゃし』
『尻こだま? 何ソレ?』
うん、同感、いや、禿同だ、何ソレ?
『いや昔から言うんじゃよ、何かこー、尻の辺りにあるそうなんじゃがのう…… 臓器? 魂かのう? ソイツを抜かれると腑抜け? とかになるんじゃと』
『え、何ソレ、痔核?』
ギレスラも続く。
『何らかの腫瘍的なヤツかも知れないのだ! しかし、腑抜け? か……』
確かに…… あの辺にはあんまり無かったな、臓物も腑も。
再びガトが発言。
「アートマン、かなぁ? 自我が崩壊するとか? かしら?」
恐ろしいな…… そんな重要部位が尻にあるとか? 座る行為自体が生物としての本能に致命的な欠陥があるとしか思えないだろう、迷信だってば。
まあ可能性としては肛門から手を突っ込んで無防備な髄を破砕するとかそんな感じだろうか? ならば結果として腑抜け的になるかも知れない……
只これは追加の検証が必要だろう、真偽が気になる方はどうか試して頂きたい、私、観察者はそこまでの興味はない、観察に戻ろう。
この間、どーゆーつもりか鏡面の左右に直立していたミロンとブロルが、堪らずと言った感じで不安そうな声を発する。
「ええっ、我が君の尻、大丈夫ですかね?」
「あんなに大勢が我が尻の君、いや我が君の尻に…… おおごとになるぞっ、こりゃあっ一大尻だっ!」
こいつ等はアレだな、レイブじゃなくて尻の方が心配な特殊な獣人なのかな?
意味は皆目判らないが、狼狽して尻尻言い続けている二人に、ギレスラは落ち着いた声を投げる。
『ンガァ、痔核だろうが腫瘍だろうがオデキだろうが、取って貰えるのならばスッキリするのだ! それにレイブならそんな痛みには負けないのだっ! ……しかし腑抜け、か?』
どうやらガトの話を聞いていなかったらしい。
勿論ガトも見逃しはしない、声を張って再挑戦だ。
「違うってばギレスラ君! 尻こだまってのはアートマンの事なのよっ! 抜かれちゃったら全てが終わりっ、ジエンドなんだからっ!」
いやそこまで特定されてはいなかったじゃん。
『む? そうなのか?』
「そうよっ! きっと魔核よっ! 尻の中に隠していたアスタロトが引っ張り出されるんだわっ! 恐っろしいわっ! あんた等そんな所に入れてるの? 仮にも魔神よ? 最っ低っ!」
『アスタさんが尻の中に…… 知らなかったのだ…… 尻に……』
勝手に決め付けたガトの言葉に、ミロンとブロル、パダンパまで自分の尻を押さえて驚きに目を剥いている。
カメムシに至っては早くもハンペラの膝から降りて、バッタに肛門を覗いて貰ったりし始めている、相変わらずの馬鹿揃いだ。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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