【2294】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
2294.角聖降臨
ゴリマッチョなレイブはその場で拍手を打った、大きく二つだ、
その後、右手を差し出し左手を脇に添えたせり上がりの姿を見たペジオは呟きを洩らす。
「攻防一体、雲竜型か、そう言や出羽一門とか言ってたっけか…… いやっ、こ、これはっ!」
レ・ジャルダンが反応する。
「どうかしたのかペジオ?」
「あれは…… 常陸山型だ……」
「What! それは?」
「伝説の角聖、常陸山谷右エ門が残した土俵入りの型…… 失われし奥義の型だよっ!」
角聖、常陸山谷右エ門、言わずと知れた大横綱である。
横綱土俵入りと言えば雲竜型と不知火型、これは誰でも知っている、言わば令和の常識だろう。
そして出羽一門とくれば雲竜型、歴代の名だたる横綱も皆そうである。
だがしかし、横綱常陸山の型は雲竜型では無かった。
後に出羽海部屋を率い、三横綱四大関を育て上げた角聖自身の型は雲竜型でも、勿論、不知火型でも無かったのである。
雲竜型を基本としつつも拍手後に大きく両手を広げて見得を切る、言わば不知火型との混合型、いや、双方の利と理を併せ持つ絶対強者のみに許される最終形態の土俵入り、それが常陸山型なのである。 ※あくまでも観察者とペジオの認識に過ぎません
伝説をその目にしたペジオはワナワナと戦慄き、横に立ったレ・ジャルダンは思った疑問をウサギにぶつける。
「私もかつてスモウレスラーにハマった事がある、しかし常陸山という横綱は聞いた覚えが無いのだが?」
ペジオは首を振って答える。
「常陸山が活躍したのは二十世紀最初期、欧米各国はまだ相撲を野蛮な見世物扱いしていたんだ」
「な、なるほど」
「だがそんな時代、常陸山は海を渡りアメリカ合衆国に赴いた、時に千九百七年!」
「おぉっ! でも、何の為に?」
「セオドア・ルーズベルトに会う為さ」
「て、テディにっ?」 ※セオドア・ルーズベルト大統領はテディの愛称で呼ばれています 熊の人です
「更に常陸山は訪米中にニューヨークで世界一の怪力男、アレキサンダーと対決して引き分けてもいる」
「アレキサンダーってザスか? あの、サムソンと引き分けた、だと……」 ※アレキサンダー・ザスはサムソンと呼ばれて親しまれた力持ちです
驚愕で言葉を失うレ・ジャルダンを満足気に見つめるペジオ、日本出身の元人間として誇らしさでも感じているのだろう。
その凄い常陸山の型で土俵入りした相手とこれから戦うと言うのにすっかりご満悦な背中に細かな刺激を感じた、コイツ、対戦相手に背を向けていたのだ、舐め過ぎだろ。
「何だ? 塩? いや、ジルコニアとかのセラミックかな?」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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