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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1680.お見事です


 あれ等の大仰な終りの話、アレってこの主従、主に調子に乗ったバアルが真面目なヨハネ君に語ってしまったヨタ話、いや、もう少し丁寧に言えばバアル自身がそうなったら良いな、そう思っていた未来を語った妄想だったのである…… 所謂いわゆるわらわが考えた来るべき未来っ! って奴なのである。

 まああの頃は暴君で知られるネロによるキリスト教徒の受難時代真っ最中である。
 って事で三章までは困難に耐えてイエス様を信じる仲間たちへのお礼と褒め言葉である、嫌味や皮肉は必要最小限以下、非常に社交的で洗練されている。

 んで四章以降、大体十一章辺りまでは思いつく限りの不幸や災害、バアル自身でも止められない災厄をちょっと重複しながら羅列し捲っている訳だ、ここらはスプラタ・マンユが怒ったら、的な感じが目立つきらいがあるな、うん。

 そして十二章から十六章は自分とアスタロト、プラス子分達による更なる破壊、真に神を信じない者達に目に物見せてくれんっ! そんな怒りへと続いて、十七章と十八章は元ニムロドだった自分への信仰を捨てたバビロニアへの怨み節、十九章からは主たる神の敵やエセ信者が消えた世界は素晴らしいっ! ブラボーハラショー、エクセレントっ! って感じである。

 この辺りでヨハネ君は聞いたらしい、理想に溢れた新天新地とか言われたら聞かずにはいれなかったのだろう。

 曰く、

「あの、その世界ではイエス様も? 復活されたりするんですかね?」

と。

 まあ、そうやってヨハネ君と彼を頼っていたマリア母さんから死後譲渡されたを依り代にしている、それだけでもこの段階でのバアルとハミルカルのクズさが窺い知れるのでは無いだろうか?    
 無名なら良いって訳でも無いんだけどね。

 アポカリプス、黙示や天啓って意味の囁きで、どんな風に今の肉体を手に入れたかを、ゲヘゲヘ嬉しそうに話す二柱とそれに笑顔で返す一柱、世界の残酷さ、弱肉強食さを感じざる得ない絵面だ。

 一頻り自慢を済ませた偽マリアの清々しさ溢れる笑顔にハスドルバルは尋ねる。

「それで我が君自らどの様なご用事で現世うつしよに? まさか俺を心配して、ではありませんよね? って事は自慢する為に、わざわざ?」

 バアルは益々爽快な笑顔を深めて淀みなく答える。

「んー今回はね! ハミルカルが凋落ちょうらくしたミカエル三世が殺したレオン六世の骨を貰いに来たんだよー♪ 良く話し合ってみたらね、僕が力を与えたレオン君と同一人物だったからさぁっ! えへへ、良いだろ? 鎖骨だよ、テヘッ♪」

「あ、そうなんですね」

「我が君、女性です」

「あっ、わらわかっ!」

「お見事です」

「あはは♪」

「へー」

 だそうだ…… この時点でこの蛮行、やりたい放題を誰も止められないし、過去を観察、経験しか出来ない自分が不甲斐ない…… ってか腹立たしい。

 今度はバアルが周りを見回しながらハスドルバルに質問だ。

「それで? ハスドルバルは何をグズグズしてたんだい? ここってダキアの村、って事は誰かが禁忌とか破っちゃったとかそんな事なんでしょ? ちゃっちゃと済ませて帰れば良いじゃない?」

「は、はあ」

「どうした倅よ? 何か不測の出来事でも起こったのか?」

 ほんのわずかな間、刹那だけ躊躇を浮かべたハスドルバルであったが、すぐにいつもの物怖じしない風情を取り戻して堂々とした声音で答える。

「禁忌を破り魔物と化した個体が信徒を害している、それを感じて急行して来たのですが状況が予測と違っていました! この地の信徒達の信仰心は俺の想像を遥かに越えて頑強、取り分け指揮官のメイドが見せた忠誠心、殉教精神は他に類を見ない程に優れ、表現に窮してしまう程に見事、俺の心は揺さぶられました」

「馬鹿者っ! それで役目を放置して只呆けていたと言うのか、お前は! それが――――」

「待ちなよハミルカル! 最後まで言ってごらん、妾は聞くよハスドルバル」

 うん、流石に魔界の最大勢力、ヘルヘイムに君臨する魔神と言った所かな。
 自身の突出した強さだけでなく配下それぞれの心に芽生えた屈託や疑問、それにやり甲斐や存在意義、目的意識なんかを無視していては小規模な軍のリーダーにしかなれない。

 山賊の頭目や窃盗団の指示役みたいなチャッチィ組織ではないのだ、もっとこう未来への希望とか忌むべき過去との決別とか、言外に伝える大将の大きさだとか? そんな劉備的と言うか劉邦チック、カストロやボナパルトっぽいカリスマなんかも必要なのである。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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