見出し画像

【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1193.past days


 無言のまま胸の中央に迫った小枝の突きを、半身になって回避したレイブの左脇を待ち構えたように薙ぐ小枝。
 その後も、受けきれずいなし切れずに打ち据えられる小枝は決まってレイブの左半面に集中していた。
 勿論、レイブは型取りの順番通り、決められ想定された相手の攻撃を受け、流し、いなす一連の動作をしているのだが……

 直前の攻撃からの流れでは攻撃不可能、そうとしか思えない場所から繰り出される小枝に打たれ続けるレイブである。
 自然、次の受けを間に合わそうと型の速度は加速を続ける事になる。
 レイブの全身にはジワリとした汗が滲み、呼吸もわずかながら荒さを増した、

 同じ一門、つまり同門の集まった学院内でも、学院長であるズィナミ・ヴァーズ以外には目で追う事も困難なレイブの動き、その速さに小枝を打ち込み続けるグフトマの顔も徐々に紅潮し始めている。
 しかし、次々と襲い掛かる小枝の過半はレイブの体に当たり続けているのだ。

 相変わらず穏やかなグフトマの声も少しだけ息を乱していた。

「『水波すいは』だぞ! 相手の攻撃を受け、波紋の様に全身を対応させるんだ! 見えぬ目をハンデだと決め付けるなよバストロ! お前なら対応できる! 打たれているのは見える左だけだぞ! ほら、ここがお留守になっている!」

「え! た、太師匠?」

 レイブは自分の左足首を打った小枝に対応する事も忘れて全ての動きを止めてグフトマを見つめた。
 急停止したレイブに訝しげな視線を送った直後、グフトマはハッとした表情を浮かべて言葉を発する。

「す、済まないレイブ、つい」

「いいえ、お気に為さらずに太師匠……」

 短く返したレイブの双眸そうぼうは涙に濡れていた。
 久しくやってこなかった稽古に興が乗ってしまい、孫弟子のレイブをバストロと錯覚してしまった自身の迂闊さに、グフトマは面目ない表情を浮かべて必死に慰めの言葉を綴る。

「私の言葉に応えて必死に小枝を避けようとする姿がバストロと重なったんだ、その…… 他の弟子達は途中で打たれるのを嫌がって鋼体術を使う奴等ばかりでな、えっと、そのぉ…… お前の誠実さ、真面目さが私にバストロの姿を彷彿とさせたんだよ…… 済まなかった、レイブ」

「いえ…… 他の弟子ってズィナミやセスカ、ですか?」

「あ、ああっ! アイツ等だけじゃないがバストロ以外、いいやバストロとレイブ、お前達以外は鋼体術でお茶を濁す様な不真面目な奴等ばかりでな! 習熟に時間が掛かって仕方なかったんだぞ!」

 言いながら小枝を明後日の方へ投げ捨てたグフトマに対して、レイブは微笑を浮かべながら言葉を返した。

「へー、ぐすっ、セスカおばさんもズィナミおばさんも真面目じゃなかったんだ、ぐすっ、シエルおばさんも? ぐすっ!」

「シエル? アイツなんかもっと酷くて朝稽古をサボってばかりだったんだぞ?」

「えへへ、そーなんだ?」

 ようやく笑顔を見せたレイブに対して、ホッとした表情で安堵の吐息をついたグフトマに対してレイブは心中で思う。

――――なんかバストロ師匠と呼び間違えた事を謝ってくるんだけど、何故? まあ、そんな事よりあの小枝がまさか汚物付きだったなんて…… 片付け作業が荒かったか、無念…… あーあー、あっちこっち汚いヤツが飛び移っちゃってぇ…… ちきしょう、どうすんだよコレ…… 後でなんちゃら言う泉、アルペジオとか言ったか? あそこで流すしかないか…… クソ、悲しい……

アルペイオスの不浄の泉な、しっかりしてくれよ、全く。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

Copyright(C)2019-KEY-STU


いいなと思ったら応援しよう!

KEY-STU|小説|イラスト|フォロバ100 励みになります (*๓´╰╯`๓)♡

この記事が参加している募集