【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1433.絶技
イマイチ理解が及ばない、と言うかはっきり言ってレイブの正気を疑ってしまうのは、ギレスラに指示した『牢獄』、前回同様の技であれば、恐らく対象を氷の檻に閉じ込める『氷結捕縛』の発動命令の方であろう。
名前が示している通り、捕縛は拘束のスキルである、それも知る限りは単体、若しくはエリアを指定しての監獄だった筈だ。
今正に復活し掛けているバイコーン共は滅茶苦茶大量、且つあちらこちらで銘々勝手に再生中なのだ。
果たしてそんな広範囲に掛けられるものだろうか? 素人考えでも強度不足が心配になるのだが……
案の定、ギレスラは戸惑った様な声で返している。
『れ、レイブ! どこら辺を中心に発動すれば良いのだっ! とてもじゃないが全てを捕らえる事など出来ないぞっ!』
ほらね?
レイブは明後日の方を振り返りながら、眼球をぐるぐるさせたままで答える、中々に不恰好だ。
「違ーよ! 牢獄に入れるのはバイコーンじゃなくて俺達っ! 獣人も含めた味方の方だっ! 迎賓館辺りを中心に展開すればなんとか範囲に入るだろうっ?」
『な、なるほどなのだ! 『氷結捕縛』『範囲最大』』
『あ、アタシもっ、『魅了酒作――――』
「殺すなよ! 殺したら又増えて強くなっちまうぞっ!」
『っ! りょ、了解! 『魅了酒作成』『濃度昏睡』『揮発拡散』』
「ふぅ~、ひとまずは良し、かな? あぁ~、目が回るぅ~、きゅうぅ~」
ほおぅ、ギレスラの真似では無いが確かになるほどだな。
吐き気を催すほどのジャイロ効果でヘロヘロにしては的確な指示だったようだ、やるなレイブ。
プリズンと呼んではいる物の、要は結界的なスキルを形状変化させているらしい『氷結捕縛』は冷気を伴った青白い魔力のカーテンを展開し、迎賓館に集まった里人たちを包み込んでいく。
ブレスより幾分静かで穏やかな氷の息吹きを吐き終えたギレスラも、自らが張った堅牢な防壁の美しさに満足気な視線を巡らしている。
細かな格子状のバリアをすり抜ける様に、ぺトラの巨大な鼻先から発せられた緋色の魔力、昏睡を齎すガス状のミードが復活途中のバイコーンの群れの周囲を漂いだし、程無くこちらもソレっぽい濃度で充満を完了した。
毒々しく如何にも体に悪そうな向精神性の化学物質がおどろおどろしく不気味な模様を描いて空間を満たしている。
見た目の通り効果も十分だったらしく、崩れかけた頭をもたげて立ち上がったバイコーン達は、直後に痙攣しながらその身をバタバタと横たえ始めていた。
顕著な効果にダソス・ダロスの声は弾んだ物となっている。
『おおっ! 流石はアリス様、いやペトラ様だ! 正に一網打尽、素晴らしい効き目ですなっ!』
『えへへ』
キャス・パダンパは牢獄の美しさに目を奪われながら感嘆の声だ。
『これは又神秘的な…… ギレスラ叔父さんの技も素晴らしさでは負けていませんよ、強度も十二分みたいですし』
『ガハハ、であろう♪』
如何にも誇らしげな弟妹の声に続いたレイブの声も又、自分の事以上に嬉しそうな響きに溢れている。
「だろ? ウップ、こいつらの技って綺麗なんだよな! 流石は俺の自慢の弟、それに妹だぜっ! ウウップッ!」
「はいはい、そうですね、アナタは兎に角回復しましょうね、取り敢えず戻せるだけ戻しちゃいましょう、ね?」
「ううう、ごめんなシュカーラ、ううう、ウップ」
直前に大挙して襲ってきたバイコーンを単独で一掃した名誉の負傷、とは言え情け無い姿のレイブである…… 少なくとも美しさや綺麗さとは対極を為している。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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