【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1313.来訪のオクシデント
瞬く内、本当にあっと言う間に季節は数十回以上巡った。
刺激に溢れた外世界での冒険の日々は、体感的に僅かな時間経過で私を王の座へと導いていた。
故郷から遥かに南下した豊穣な森林地帯、かつて『シセン』と呼ばれた地が私の王国となった。
森の中央、玉座に君臨した私は手下共に傅かれながら時折感慨に耽ったものだ。
旅立って以来、戦い続け抗い続けた挑戦の道程についてである。
思えば苦難の連続であった。
凶悪なモンスターとの戦いは勿論、理解力に欠けたニンゲン(勿論極東ニンゲンではない)との諍い、抗い難い飢えと渇きに晒され、正気を保てない程の魔力に侵され続けた、正に地獄と形容できる旅路だ。
時に絶望を感じ心が圧し折れそうになる度に、私は持ち前の根性と食欲を駆使して乗り越えてきた。
敵を踏み潰しては喰らい、不寛容なニンゲンの里を叩き潰しては喰らい尽し、不毛の大地も魔力の奔流もモグモグ噛み潰して腹に収める、つまり食い捲ったのだ。
噛んで飲んで噛んで飲んで噛んで飲んで、気が付くと『シセン』の森林に辿り着き、私の後ろには夥しい数の魔獣が付き従っていた。
多くは有象無象の取るに足らない小物であったが、中には『緋色の悪夢』だとか『平原の馳せ王』だとか『密林の暗殺者』だとか、氷点以下のシバレル通り名で呼ばれている熊っ子やカリブーや縞ネコなんかも混ざっていたようだ。
それらの全てが毎日貢いで来る豊富な食料を満喫し、更に大きく育った私はいつしか森の丘、ダソス・ダロスと呼ばれる事となっていったのである。
個人的には正確な発音、オロスと呼ばれたいとも思ったものだが、まあ、揃って田舎者の部下たちには訛ったダロスの方が口にし易かったのだろうと考え許容してあげたのだ。
※丘の意はギリシャ地域ではオロス、小アジア以東ではダロスに変化します。
永遠にこの飽食を楽しみ続けたい。
そんな風に、何か大切な事を忘れ掛けていたある日、運命の転機は唐突に訪れたのである。
報せはモノトーンの笹喰クマ、通称『煉獄の笹枯らし』グゥルゥから齎された。
曰く、
『お頭てーへんだっ! 竜と獅子、それに角の生えたニンゲンが攻めて来やがりましたぜぇっ! 他にも金属を着込んだ男やヤケに偉そうな兎なんかも連れていやすっ! どうしてくれやしょう? お頭ぁっ!』
私は慌てん坊のグゥルゥに諭してやった。
『は? んなもん喰い散らかしてやれば終いだろ?』
『あぁ、なるほど! そうでげすね、げへへ』
全く、手が掛かる笹狂いだ、そう思った私は命令してやったのだ。
『よきにはからえ』
笹キチガイは答えた。
『げへへ、そういたしやすっ! なに、あっしもそうは思ったんですがね、お頭が昔仰っていた事が引っ掛かりましてね、失礼致しやしたっ! んじゃ、喰い散らかして来ますんでっ!』
この言葉は私に何かを感じさせた、琴線に触れた、そう呼ぶべき感情が想起されたのだ。
となれば聞かねばなるまいっ! だから私は白黒の笹中毒を呼び止めたのだ。
『待て待て! 私が昔言った事だと? 一体何の事だったか……』
グゥルゥは体毛と同じく目を白黒させながら答えた。
『え? あれでげすよ! 魔術師を探しているとか何とか? 仰っていたじゃあありゃぁせんか! げへへ、角の生えたニンゲンが自分の事を魔術師だって名乗っていやしたんでげすよ! んじゃあ、ちょっと行って喰って来やすんで! ごめんでげすっ!』
私の頭に電撃が走った。
『ば、馬鹿っ! 喰ってどうするんだよ本当に馬鹿だなっ、お前はっ! ええいっ! お前は、アレだ…… いつも通りそこら辺の笹でも喰っていれば良いんだよっ、馬っ鹿っ!』
『へへえぇいぃ! んでは、笹喰ってきますっ!』
『ふうぅ~、さてと』
馬鹿が去ったので私は満を持した感じで侵入者、いいや、いやいや、待ちに待った魔術師様の元に赴く為に身繕いを始め、暫らくしてから彼等の前に立ったのである。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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