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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1226.絶賛


 皮袋の水をあおっていたレイブが視線を彼女に戻して言う、心底感心した様子である。

「美味かったよ…… 正直、驚いた! にしてもペトラ、一体どうやったんだよ? 同じ草でも一品ごとに全然違う味? 歯応えや風味とか? 何て言うのかな、味わい? みたいな? 凄かったよ」

『えへへ、そう? 口に合ったのなら良かったよ♪』

 このやり取りに、ボウルや皿として使っていた木製の食器の残り味を、舌を伸ばしてベロベロ舐め取っていた下品極まりないギレスラが参入してくる。

『ペトラよ…… 合うとか合わないとか…… 違うぞ、それは断じて違うっ! これは…… 世界の食を変える、全生物の捕食に対する意識を一変させる! それ位の業、いいや偉業じゃないか、これ! 本当に魔法みたいだぞ? ってか魔法か? スキルが生えた的な? かな?』

 大絶賛極まりない声にレイブも追随だ。

「確かになっ! こんなの食わして貰ったら今まで食べてた干し肉とか干し野菜、モンスターの絞り汁なんか食えなくなっちゃうよな! 精々干し果物とか硬く焼き締めた穀類のぉ、何てったっけ? あっ、パンか! あれ位しか美味しいと思えないんじゃないかぁ! な?」

『おお、確かにっ! 至福の喜び干し果物やパンと争えそうな出来っ! 決して負けていなかったっ! うんっ、レイブの言う通りだぞ、ペトラッ!』

 こちらも惜しみない賛辞の雨だ、この時代では魔術師が滅多に口にした事が無い、里人のご馳走、パンまで引き合いに出しての物凄い、謂わば最上級の褒め言葉である。
 事実、当のレイブやギレスラ、ペトラ自身ですら、生まれてから数回、ほんの一口づつしか口にした事が無い超ご馳走、それがパン、いいや敢えて貴族風に言うならば、ンパーンッ! なのである。

 ペトラがこしらえたメニューの与えた美味具合、その衝撃がどれ程の物であったか? それを正しく理解して頂く為に、オーディエンスの皆さんには是非、次に上げた会話をお聞き頂きたい。

 舞台は令和の日本、場所はどこかのヒルズの上層階か、使用人の数が二桁以上の邸宅で再生して欲しい。

『お帰りなさいませお父様!』

『ああ只今マリア、いい子にして居たかね』

『ええ、マリアはいい子にしていましたわ! ですから…… そのぉ……』ちらっちらっ

『ははは、心配しなくても約束通りっ、お前の欲しがっていたマナティだったら二十頭ばかり、手に入れて置いたぞっ! 週末にでも皆で見に行こうでは無いか! はははは!』

『まあ♪ お父様、大好きっ!』

『貴方を結婚相手に選んで良かった、いつもいつもそう思いますわ』

『ははは、お前まで大袈裟だな、たかが子供へのプレゼントじゃないか? そんな事より、今日の夕食、メニューは一体何なのかな?』

『今日はお父様のリクエストの通りでしてよ』

『ん? リクエスト? だと? 何だったかな?』

『んまあ、お父様ったら! お母様ぁっ?』

『ほらほら、昨夜仰っていたでは無いですの? 庶民の生活を知る事も大切な勉強なのですと…… ですから、今日のメニューは庶民の喜び、あの者達のご馳走扱いらしい、菓子パン? と言う物にさせましたのよ? 思い出しまして?』

『あっ、そうだそうだ! 思い出したぞ! では、頂いてみるとしようか? セバスチャン、今日はパーンを食すぞ! これ! ここに持てっ!』

『ははっ! 旦那様の御指示だ! パーンをお持ちしなさい!』

 ガラガラガラッ!

『旦那様、奥方様、マリアお嬢様、こちらが、パーンでございます』

『おお、これが』

『只の茶色い固まりに見えますわね』

『お父様お母様! 私、パーンを食べてみたいですわ!』

『まあまあ♪』

『ははは、では食べてみなさい、でも硬いかもしれないぞ? 歯に気を付ける事を忘れない事! 良いね?』

『はいっ♪ ではハシム、毒見をお願いしますわ♪』

『畏まりました』

………………

 ここでマリアが口にしたであろうパン、これがンパーンッ! である。
 つまり、この時代においてのパンは高級品そのもの、滅多に口に入らない位の高級品扱いだったのである。

 食い物が無い、は? そこに草があるじゃん? 何なら土も? な貧困具合な世界である、お分かり頂けただろうか?
 ほんの数千年の間に一切れのパンは貴族階級の食するレベルまで引き上げられてしまっていたのだが、それと比されるペトラの夕食も大した物、そうなのである。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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