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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1549.ラーゲリよりeyeを込めてっ!


 で、現在レイブ達がいるのはトモポの源流から南の稜線を水の手に沿って南下したラズヴィルカの鉱山跡辺り、つまり、真っ直ぐ南下すればあのオホーツクに至り、少し東寄りに下れば誰でも知っているマンモスと悲しみのマスクで有名なマガダンに辿りつく位置である、つまり日本はすぐそこなのである。

 マガダン。
 皆さんの時代では港湾都市として、又、シベリア抑留の玄関口として良く知られた都市の名前である。
 悲しさと苛烈さ溢れる意味で口にされるラーゲリ発端、又は幸運が味方したとすれば終焉の地の一つなのである。

 因みにロシア語でラーゲリはキャンプを意味する単語で現在でも使われている言葉だ。
 皆さんが笑顔で語る林間学校や自然体験なんかのイベントもラーゲリと呼ばれて子供達が指折り数えて待ち焦がれていたりもする。

『後二日でラーゲリだなー、もう待ち切れないよっ!』

 ……平和の尊さを感じるね。

 さて、こうして書き上げてみれば大した事無く感じられる旅程ではあるが、ハタンガからマガダンへの距離は直線で結んでも2500km、踏破した道順を辿ればざっと5000kmは軽く上回る長旅である。
 5000kmと言えば東京大阪間の約十倍、言い換えれば五往復にも及ぶ馬鹿みたいな距離である。

 おそらくヤジキタなんかでも、流石に飽きて三往復3000km位で自宅に戻るのではないだろうか?
 まあ彼等の場合江戸に帰るにはかなりのハードルもあるだろうが、こっちは特段帰れぬ理由なんか無い旅路である。
 良くもまあ歩いたな、そう感心されて罰が当たる、そんな中途半端な遠足では無いと言えるのではないだろうか?

 改めてこの時点で皆さんに旅路のあらましを説明させていただいたのは単なる思い付きや気紛れではない。
 その理由は今正に旅の道案内、元竜王魔獣軍団長のキャス・パダンパからレイブに向けて告げられるのである。

『おっ! レイブ叔父さん、丁度良い所に! そろそろ例の金鉱跡、旅のゴールに着くんですよ!』

 この十日ですっかり『馬鹿』から回復した巨大なタイゴンが人懐っこい声を出した。

「あ、ああ、そうか、それも良いんだが、俺ちょっと今ヤバい感じでさ――――」

『ほら見て下さいよ! この南がマガダンの港跡、東に進んだ草原の先に我々魔獣が守る砦が! ほらほら見えるでしょう叔父さんっ!』

「あっ、引っ張るなって! が、眼球がブチブチってぇ…… 痛てて、なあ、まずはペトラを呼んでくれよ! 痛ててて」

『ペトラ叔母さんですか? 叔母さんだったらクルン=ウラフの人達が退避する予定だった金鉱脈、コルィマ鉱山跡を確認しに山を降りた所ですよ! それよりも北を見て下さいよ! あれが極寒のチュクチですよっ! どうですっ? 雄大でしょうっ!』

「あ、ああ、そうだな、片目でも雄大さが判る様な気もするな…… それより何だか息苦しくなってきちゃってるんだよ…… なあ、ペトラがいないんだったらダダ坊でも良いからさ――――」

『そうだっ! 空気を吸い込んでみて下さいよ! すぅ~、あぁ清々しくて気持ちがいいっ! 子供の頃ラーゲリで感じたままの綺麗な空気だー! さっ、さささっ、叔父さんもっ! すぅ~! はいっ!』

「はぁはぁ、すっ、はぁはぁ、す、すううっ、はあぁ~」



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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