【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1733.ルター誘惑
カイムは即座に姿勢を戻しいつも通りの風情に戻る、因みにゼパルの方は慇懃な態度を崩してはいない。
「では、改めてベレト様、戦わないのは戦う理由が無いからですよ、ポロッポー」
「何? 力ある悪魔であれば競い合い、勝利した側は相手を従わせるのが常であろう、お前は理解出来るかゼパル」
ゼパルは礼をしたまま答える。
「総裁カイムは虚と実の狭間より万物を推し量る者…… 戦士に過ぎぬ我には理解の慮外! されども、共に魔神王に付き従った朋輩としてのカイムに落胆させられた事が一度たりとて無かった事は紛れも無き事実…… 故にこそ我はカイムの言葉に倣うのです、奥方様」
「だから奥方では無くベレトと呼べ! 後、様も敬語も要らん!」
「ははっ」
「判ったよベレト、ポッポー♪」
早速言葉遣いを気さくに変えて微笑むカイムに、リリス改めベレトのニャンコは満足気に頷いて言葉を続ける。
「お前達が口を揃えるのであれば我も従うとしよう、それで? これから如何するのだ?」
「うむ、其の事よ」
ベレトだけでなくゼパルも視線を鳩の着ぐるみ姿のおっさんに集める。
カイムは口元をニヤリと引き上げてから、一転至極真面目な表情を浮かべて言葉を返す。
「その前に先程の嘘についてお詫びして置きましょうポロ」
「嘘?」
「どこだ?」
詫びると言っておきながら、カイムの態度、口ぶりに一切悪びれた様子は無い。
「戦う事を恐れるかの所っポロ、戦う理由が無いって言ったっポロ」
「ふむ」
「そこか…… では恐れていると認めるのか?」
カイムは即答だ。
「恐ろしいよ? 個としてのバアルは勿論、ヘルヘイムとニブルヘイム全ての悪魔を敵に回す事がね、考えただけでも震えちゃうポロロ」
「なっ!」
弱気としか取れない発言にベレトは憤懣の声を上げるが、対してゼパルは一層落ち着いた風情で問いを重ねる。
「では先程の質問の答えは? これから何をするのだ?」
「なっ! ぜ、ゼパルっ! 貴様までそんな臆病なっ!」
基本イライラしているのがベレトの性だがどうやら火に油を注いでしまったらしい。
しかし着ぐるみのおっさん、カイムは慣れているのか、口笛でも吹き出しそうなムードで返す。
「私は少しやる事があるんだよ、それが終わったら一緒に旅立とうよ、ポロ」
「やる事? 戦いに背を向けてかっ?」
「うん、ちょっとザクセンのアイスレーベンで生まれたルターさん家の子に用があるんだポロ、これって世界の未来に関わる大切な事ポロなんだよ」
「戦いを避ける口実では無くてか?」
「勿論っ! 肥え太ったローマを分割するポロロン、これは燃えながら得た情報だから間違い無いポロッポー!」
「ふんっ、どうだか」
「承知した、どれ位だ?」
「二十年位ポロ」
宗教改革にご興味をお持ちの方は例によって自力でマルティン・ルターをお調べ頂きたい。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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