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【2038話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~

2038.雨中の疾走

 判で押した様に陰鬱で沈み込んだ顔付きを並べる一同の中から、キンシコウ似のお猿が答える、確かフィンレーとかぬかすハンペラのダチの姫様だった筈だ。

どふもかふもどーもこーも…… あれ見てさうらふ候う……」

 何だその話し方…… まあ、今更か。

 金色の戦士が指差した先、城の裏手は既に薄暮はくぼを迎えていた。
 二日前、急拵えで整地された東京ドーム二十個分の平地は静まり返り、城内の喧騒とは対極を為している様である。

 一見したパダンパは誰にともなく答える。

『雨っすね、いつの間にか降っていたん…… えっ! あれ、叔父さんと叔母さん? ま、まさか、ずっと……』

しかり、されど其れのみにあらず…… 見やれ」

 なんと、城の中で楽しく愉快なパーティーが開催されている間、ぺトラとギレスラは鏡面の前から動いていなかったのだ。
 しかもそれだけではない、フィンレーの言葉に目を凝らしたパダンパは、大柄な二者の横に人間サイズの四つの影、更にその足元にも地を這う小さな影をも発見したのである。

『あれは……』

 呟きにはステナが返したが、その声音は憂いと悲嘆に染められている。

「ガト様とミロン、ブロル、それにアグネスですわ…… カメムシとバッタも……」

『なっ! か、風邪ひいちまうぞ!』

 連れ戻そう、そう思って慌てて飛び出そうとするパダンパにヴァミスが言う。

『何度も城に入る様に言ったんだが…… 放って置けの一点張りなのだよ』

『ま、マジすか……』

「卍、しまいには怒鳴られたかんね? これガーチャー」

 パダンパは戦慄と共に激しい羞恥をも感じていた。

――――マジか…… 俺がウキウキひゃっほぅ! ってやってる間に皆は…… はっ! 良く考えたら中身入りのメンバーが殆ど揃ってんじゃんっ! 恥ぃ…… いや、でもダソス・ダロスの兄貴は…… いやいや兄貴は立場上あっちにいなきゃならんよな? やっぱ俺だけじゃん…… ってか、あのサルですら飼い主レイブの事を心配してるってーのに、俺って奴ぁ…… くっ、こうしちゃいられん!

『俺行ってくるっすっ!』

「おぬしっ、水ダメだったんじゃろがいっ! おぬしーっ!」

 フィンレーの叫びを背に、ネコ科なら死すらあり得る雨の中へと飛び出したパダンパは一目散に駆けた。
 実際は悪魔入りの自分が死ぬ事はない、そんな打算もあるにはあったが、兎に角、遊び呆けていた事実を誤魔化す為にも必死に駆けた、更に判り易くつまずいたりしながら出来る限りのアピールも織り交ぜて駆けた、無意味に苦しそうな声だって上げながら駆けた、振り向いて皆が見てるか確認したかったが我慢して駆け続けた、多分そーゆー所なんじゃないかと思う、如何にもパダンパのクソ野郎だ。

 決して注目していた訳ではない、レイブ達の観察上、仕方なく見て来ただけの私、観察者でも判ったのだ、パダンパの背後からは、ヴァミスの、ワッザとらしい、とか、ステナの、嘘ですわね、とか、おサルたちの、うあっアイツ! だとか、寒さ惨いっ、ブリザードゥっ、だとか? もう、死ねば良いのにっ! だとか聞こえていた、その中を真一文字に疾駆しっくするパダンパ、中々のガッツじゃないか! 私、観察者の中で彼の評価が少ーしだけ、ほんの誤差レベルだけだが上がった、お目出度うっ。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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