【1801話】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1801.情緒的に、ね?
「殺してどうするんだよ…… 生き残る為にグルグルを教えるんじゃなかったか?」
レイブが吸い取ったのだろう、掴まれた前肢から魔力のオーラが消え去ると同時に通常の冷静さを取り戻したペトラは反省声だ。
『そ、そうだったわね…… ゴメンネお兄ちゃん、アタシ、アリス時代の事言われるとつい……』
つい? それで済むとでも? ふぅ、酷い暴君ぶりじゃないか……
「良いさっ、誰だってそんな事情の一つや二つ持ってんじゃないか?」
そんな事無いぞ、絶対だ。
『そう? そうよね♪ ありがとうレイブお兄ちゃん!』
「良いって! それよりレオニードの兄貴を助けてやらなきゃなっ? ほら、もう家族なんだからさっ!」
『うんっ♪』
無邪気っぽく言ってはいるが、内容的には邪気しか感じられない会話が怖い。
しかしあれだよな…… 改めて考えてみるとこいつ等スリーマンセルにとって家族、いや身内は兎も角、肉親と言う意味ではとんでも無い環境だった事が思い出されてしまう。
忘れていた訳では無いが普段の飄々? 屈託の無さ、かな? 楽しそうな言動でついつい失念しがちだが全員天涯孤独の身の上だったりするんだよな?
如何に厳しさ溢れる時代とは言えスリーマンセル揃って、である、結構ヘビーな生い立ちなのでは無かろうか?
成長過程で必要不可欠な部分、特に情緒的なパーツに著しい欠陥を負った兄と妹の話は続く。
「兎に角、一旦魔力を吸い取ってやらなきゃな! ほらココ、上廉泉から吸ってやれよ!」
『ギヤャアッ! プッウゥウゥーッ、ウッウッウッゥッゥッゥッ!』
レイブは魔術師だ。
加工に必要な無垢の魔力を失ったとは言え、北の魔術師バストロが最後に残した腕利きの愛弟子であり、その技術は凡百のそれとは一線を画しているのである。
今、何気なくペトラに示した上廉泉は顎の直下にあるくぼみのツボで、ニンゲンを始め多くの動物にとって有用な経絡の一つなのだ。
一般的には顔の浮腫みを改善させたり唾液の分泌を促す事で口臭予防や喉の渇きを緩和させると言われていたりするし、しつこいから咳にも対処出来るとかも聞いたりする。
無論、レイブにはそんなカイロプラクティックな知識など無い、もう皆無だと言えよう。
知っていた理由は簡単、この場所がトラ魔獣の魔力抜きポイント、つまりソレ専用な刃物で切り裂く場所だったからに過ぎない、言わば業務上知り得た知識だったからなのだ。
アミュレットやタリスマンの作成、様々な薬品類の加工みたいな繊細な作業も生業としつつも、基本はモンスター狩りと鱗削り、獣の血抜きと行商がメインのガテン系、そんなレイブは引き抜いたレオニードの顎毛を払いながら下半身に歩を進め、見送るペトラの嬉しそうな声は背中に受ける。
『ペトラ頑張るわね! ほらっ! 顎を上げなさいよっ! 死にたいのアンタっ?』
後ろ手でヒラヒラさせながらギレスラを見たレイブは思わず息を飲み、続けての言葉を搾り出す。
「おまっ、ギレスラ? か?」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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