【2252】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
2252.禍福は糾える縄の如し
追い詰められた悪は手に入れたばかりのスキルに活路を求めた、使い方すら判らないのに最早手段を選んではいない、流石は悪だ。
「おっ♪ こいつで分離可能みたいだな♪」
カトリーヌの転移スキルの対象は自分自身とそれ以外、それがイメージ的に脳内で選択する感じになっていたのである。
その中にはっきりと浮かび上がった文字、『侵食中の魔力』の文字列を見つけたペジオは嬉しさにウキウキだ。
「ふぅ焦ったぜ! これでどこかに送れば問題無いんだな」
まともな人間なら判る事を当時のペジオには考えも及ばなかったらしい。
そんな事が出来るのならば当のカトリーヌが実施しない訳は無いのだ。
では何故彼女がそうしなかったのか? その理由はすぐに判った、ペジオがご機嫌で転移対象に『侵食中の魔力』を選んだ瞬間の事である。
脳内のイメージに浮かんだ次の選択肢だ。
『魔力を誰に移しますか?』
「は? だ、誰ってぇ? え、ええっ?」
『魔力を移す対象を記憶済みの対象からお選び下さい』
「え、いや、そこらの原っぱとかじゃ…… 駄目なのか?」
『魔力は生体の体内、厳密には人間の体組織を侵食中です、転移させる場合は代替の人物を指定する必要があります』
「うあっ! え、えっとぉ……」
『侵食の速度から後十数秒で転移が出来なくなります』
「えっ、あっ、うっ、あわわわ!」
『転移不可まで、六秒、五秒、四秒――――』
「だっ、誰でも良いからっ、記録にある一番死ななそうな相手に送ってくれっ!」
『――――侵食中の魔力転移を完了しました』
「ふぅう……」
無責任に他人に転嫁し悪は生き残ってしまった。
そしてここから悪党らしく世に憚る事になるのだ。
九死に一生を得たペジオは精力的に動き始める。
具体的にはカトリーヌから入手した転移スキルを使い、同じくカトリーヌのアドレス帳を使って世界中の聖女、聖戦士の元を訪れ始めたのである、足しげく、こまめに、人が変わったかの様に優しげな笑顔と当時貴重になり始めていた様々な道具や食料を手土産にして、である。
この頃のペジオはほぼヒト型、耳が少し長い位で食性は植物を好み、素早さと跳躍力、敵意察知能力なんかが少しづつ人間離れし始めて来ていたという。
そしてナターシャだかカトリーヌが好んでいた長弓と、日本男児永遠の憧れである日本刀を携える姿は世で言うエルフ、ほぼほぼ完成なのであった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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