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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1332.着任


 吹き上げる水煙りに隠され、その後ペジオがどうなったのかは私には知る由も無い。

 しかし、ペジオが私に向けた最後のメッセージだけは、明確に私の脳裏に焼きついたのである。
 全身をびしょ濡れにしながらも、極東ニンゲンの元へ向かう様に促したペジオは、私を急かす様に必死の形相を浮かべて手を振り続けていた。

 バイバイ、頑張れとの励ましも込められていたのかも知れないな、グスっ、憎い事しやがる、あんちくしょうめっ!

 センチになりそうな気持ちを堪えながら、今来た川原を上流に戻る私の目には、最早、迷いの類は欠片かけらも無かったのだと確信している。
 粋な別れを演出してくれたペジオの為にも、いつも勇気付けてくれた最高の仲間たちの為にも、何より一族の悲願と私自身の夢を叶える為に、振り返る気持ちはすっかり消え失せていたのである。

 そして私はしっかりとした足取りでクルン=ウラフの森に辿り着いたのだ。
 出迎えた極東ニンゲンは揃って獣そっくりな顔をしていて、それだけで彼等がそこらのニンゲン共とは一線を画する存在である事が窺い知れた物だ。

 到着の数日前に老衰で無くなった前任の森王、カリブーのニックは既に彼等によって埋葬され、私は慌しく日々の任務に従事する事となったのである。

 仕事は簡単な物であった。
 住処として与えられた森王の神殿の中で、一日に何回か結界のスキルが込められた金属板に魔力を流し、日が落ちる少し前になるともう一つの金属板、『再生雨』を起動させる、これだけだ。
 それ以外の時間は、美しいクルン=ウラフの景色を眺めたり、遥か西の空を見上げたりしながらハタンガや懐かしい面々の事等に思いを馳せているだけだった。

 里人達は毎日の様に様々な珍味を持って訪ねてくれていたが、私から申し出てそれらは止める様にさせた。
 神殿の周りには新鮮で水々しい植生が豊富だったし、何より、毎夕の『再生雨』のキックバックで体に流れ込む魔力だけで充分過ぎるほどに空腹は満たされており、実の所、少し食傷気味だったりしていたからでもある。

 そうして何年もの間、平和な日々は続いて行った。
 ニンゲン達の守護獣と言っても難しい事や危険とは無縁だ。
 前述のお勤め以外には特にやることも無くのんびりとしたものだった。
 この里の危機と言えば、結界に侵入したモンスターの襲来位のものだったが、夕方の『再生雨』で野獣に戻されてしまう為、決定的なピンチにはならないのだ。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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