【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1616.要らない
「お、ペトラ、起きれたのか、まあ、色々あってな、お前、寝てたんだよ」
『そうなのね』
『少しやつれたのでは無いか? 空腹なのでは?』
『そう言えば…… 皆食べてるし何か貰おうかなぁ?』
奇しくもあっちのサルヘビと同じ会話の展開だ。
しかし、こちらは甘酸っぱくも何とも無い現実主義を旨とするスリーマンセルなのだ、最近サポート
役が板に着いてきたガトさんには抜かりの一つも無いのである。
「だろうと思ってアタシが貰って来てあるわよ、今日はご馳走らしくってね? メインは外で捕まえたデカいコウモリの丸焼きですって♪ 結構美味しいらしくて皆の評判も良いみたい! さっ、どうぞペトラちゃん♪」
なるほど、レイブに拳骨を落とす前の僅かな時間に消耗し切ったペトラの栄養補給に心を砕いていたのか…… そりゃノンデリのレイブより人気者になるのも納得だな。
ペトラも躊躇なく受け取ろうと前肢を伸ばす。
『ありがとガトちゃん! って、こ、コレって……』
伸ばし掛けた前肢を口元に持って行ったペトラはそのまま両前肢で顔の下半分を覆いワナワナし、無理な姿勢で固定された後肢もガタガタしたため全身をガックンガックンさせる事となったのである。
ご馳走を渡そうとした手の行き場を失ってしまったガトは首を傾げながらペトラに問い掛ける、お手本、若しくは毒見とでも言うかの様に自分でコウモリの丸焼きを一口齧りながらであった。
「どうしたの? ほら! 美味しいわよ? うん! 本当に美味しいわコレっ!」
『ヒイィっ!』
キョトンとするガトに背を向けたペトラは、遂に身を丸めて蹲りプルプル震え出してしまった。
レイブとギレスラは不思議そうな顔を浮かべてガトとペトラの間に歩を進め、ガトが手にした丸焼きを見た瞬間に全てを理解した表情で短な呟きを洩らす。
「ああ、そーゆー」
『なるほど、なのだ』
「何、何? 何なの? 本当に美味しいのよ、コレ!」
『ヒイィィッ!』
未だ首を傾げたまま、更に追加で証を見せんとばかりにコウモリに齧り付くガトに、レイブは頭をポリポリしながら告げる。
「うんそうなんだけどさ、ソレ、ってかそのコウモリな、俺達知ってるんだよ」
「えっ! コレ?」
『ああ、ソレはゴシショさんなのだ、少し前に楽しく歓談した、言わば我々とお友達的な存在になったとも言えるマナナンガルのリーダーさんなのだ』
「う、うそ……」
「嘘じゃないぞ、さっきお前が喰いちぎったコメカミの傷とか自慢されたからな! 絶対にゴシショさんだよ、見間違いとかじゃないぞ!」
改めて手にしたコウモリの丸焼きをマジマジと見直したガトの視界に、自らが噛み千切った側頭部の裂傷からほど良くホックリと蒸された感じの脳漿がボトボトッと零れ落ちた。
当然だが、ゴシショさんは無表情なままガトに視線を向けたままである。
何故か背筋に薄ら寒い物を感じたガトは食べ掛けのコウモリを遥か遠くに投げ捨てると、無理やりっぽい笑顔を浮かべ改めてペトラに話し掛ける。
「な、何か別の物を持って来てあげるわね! ねえ、何が良い?」
ペトラは背を向けたままで答える。
『良い…… ペトラ、今、何にも要らない……』
「そう? 欲しくなったら言ってね? ねっ?」
『要らない……』
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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