【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1653.黒軍ブーム始まる
悲しみに耐える少女はややあって独り言葉を続けた。
「うん…… あの赤と白、それに訳の判らない黒い鳥? カラスかしら? あの旗が敵みたいだわね…… でも、場外に戦闘の跡が見られないのに街や館が燃えているってぇ……? あっ! 内通者、ってか裏切り者、かな? 父上も我儘で色んな人から恨みを買ってたからかしらね? ん、あれは屋敷の警護だったギアニとガラベ? うわぁ、酷い虐殺じゃ無いのぉ! そうか、あれ等にはハッシシを配っていた筈だからその効果かもねぇ……(ハッシシはイートゥルの時代にダキアが常食していたケシの根、言わば主食である、因みにアサシンの語源にもなっている強壮効果もあるらしい) ふむ、これはどうしたものかな?」
なるほど、街の破壊は外部からの侵攻では無く、どうやら内部の民による反乱の気配が濃い様である。
そんな事に暢気な考察を巡らしていると、何やら眼下の騒ぎが変わった様だ。
「ん?」
改めて目を凝らすと略奪と破壊の限りを尽くす事にのみに夢中だった暴徒の内で何人かが、こちらを指差しながら何やら大声で叫び始めている様だ。
「なになに?」
耳を済ませてみた所、領主の娘だ、だとか、三日前に出発した筈、何故ここに? だとか、良いから吊るせ! だとか、八つ裂きじゃーヒャッホウー! だとか口にしている事が判った。
「っ! や、ヤバい、一旦林の中に隠れないと! おいでブレオっ! ……ぶ、ブレオ? あ、ああっ、ブレオっ!」
ここに辿り着いて以降、すっかり放置を決め込んでしまっていたが、一晩飲まず食わずで休み無く走り続けてくれた愛馬ブレオは、ほぼ乗り潰された状態でぐったり倒れ込んだままだったのである。
思えば領主の館でそこの娘に可愛がられ、街中のお散歩とご近所の野原なんかへのピックニック位しか経験した事がない馬である、一世一代の見せ場が有終の美へと直結していても何ら不思議ではない。
今は只、虚ろで濁った瞳を空中に彷徨わせ、荒い呼吸に合わせる様に大量の胃液を噴出させて、だらしなく垂らした舌で顔の下の地面を舐め取りながら、無意味に動かされ続ける四肢は虚しくエアランを繰り返しているだけである、走っている夢でも見ているのかな? 健気だ……
確かに気を失いながらもまだ主の為に駆け様とする姿は健気では有る、だがしかし、この時のカーミラにはそんな事に頓着できる余裕は皆無である。
「ちょ、ブレオっ! 起きて下さいっ! ブレオっ! おいっ! 馬っ! 動けよ、この駄馬がっ!」
彼女の心からの叫びにも愛馬、いや、今や唯一の相棒は返事所か視線一つ合わせてはくれなかった、もっとも瞳は霞が掛かった様に濁り瞳孔は完全に開ききっていたので若しかしたら彼女の勘違いかもしれなかったが……
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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