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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1693.ドール


 なるほど、配下と言うより客将っぽい位置付けのイーチとの取り決めとかあったんだな。
 それならハミルカルの言う通り、決まり事通り、さっさと持って行かなくちゃなぁ、なに? この子駄目な子なのかしら、ちょっと心配になるよ?

 そんな私、観察者の心と相反して、当のハスドルバルちゃんはどこかホッとした表情を浮かべて早速魔核を拾い集め始めているではないか、本当にこの子大丈夫かな?

 そそくさと働くハスドルバルに、立ち止まったバアルが声を掛けた、随分気楽で少し楽しそうな声音で、だ。

「集め終わったらちゃんとレーテーの水に浸けてからにするんだよ? 現世うつしよの記憶が残っていたら大変だからねー! 判っているよね、ねえ、ハスドルバル?」

 その言葉を聞いた途端、忙しく動いていたハスドルバルの全身がわずかに硬直し、一瞬の後に返した返事にはどこか強張った物が含まれていた。

「わ、判りました…… しっかり、消して、置きます……」

「そっか良かったよ! じゃあしっかり頼むねー♪」

「ちゃんと努めよ、倅よ」

「……は、はい」

「行くよーハミルカルー!」

「はい只今ーっ!」

 こんなやり取りを終えた後、残されたハスドルバルは無言のままで魔核を拾い集める作業を終え、何とも言えない表情のままその場、現世うつしよを立ち去ったのである。
 その場には使う者、祈る者無きサルモクシスの祭壇と、傍らの草叢に転がされた錫の人形だけが残されたのである。

 その場でピクリとも出来ぬまま日を過ごしたカーミラに変化が起こったのは八日目の事だ。
 その日は満月の光が降り注ぐ静かな夜であった。

 転ばされたままだったカーミラは不意に誰かに持ち上げられた。
 恐る恐る目を凝らすと、自分を覗き込む美しい女性の姿が映ったのである。
 カーミラには、その顔が凛として気強く、どこか自分の守護者であったイザベラに似て見えた。

 視覚以外の知覚を持たないカーミラには判らない事であったが、美しい女性は何かを彼女に語り掛け、暫らくするとにっこりと一層美麗な微笑みを残すと彼女を立てて置き、どこかへ去って行ったのであった。

 次の朝、相変わらず何も出来ないままそこに立っていた錫人形は自分の体に不思議な違和感を感じた。
 なんと、動かそうと意識を高めると錫の塊である自分の腕や足が、僅かでは有るがピクリと反応を返してくれたのである。

――――っ!

 その事に気が付いたカーミラはそれからの日々のほとんどを肉体の制御、その事だけに費やしていった。
 まあ、食事も睡眠も必要無く独りきり、他にやる事も無かったのではそうなるのが自然だろう。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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