【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1363.ナガチカのコイン
「なあ、ナガチカってどこに書いてあるんだ?」
あわよくばおっぱいも見たかったと思いながらもちゃんと確認の声を出すレイブは立派だ。
「ええっと、そこら辺、あっ、もう二つ下、そうそこよ」
端的に指示を出したガトは慌ててダソス・ダロスの横へ戻っていく、まるで口をきき過ぎると妊娠するとでも言いそうな勢いで、である。
大変失礼な幼馴染の態度も珍しく気にせずに、手にしたコインとズタ袋の文字を見比べていたレイブはやがて呟きを洩らす。
「同じだ…… こ、これ、ナガチカって人のコインだぞ」
ザワッ!
車座に集まっていた面々からざわめきが起こった。
そりゃそうか、この里の始祖でジローとユイのご主人様の遺物が見つかったのなら当然だろう。
ざわめきは広場中に伝播して行き、暫らくすると今度は一転、水を打ったような静けさに変わった。
沈黙して成り行きを見守っている獣人たちと違ってガトの声はリラックスそのものである。
「へー良かったじゃない、目的の物とは違うかもだけど、これでリストの内一つは調べ終わったって事よね」
『ふぉふぉふぉ』
まだ上半身を確りしたガードで守り続けている彼女の横で、ダソス・ダロスは何故か愉快そうな声で笑っていた。
レイブの対面で言いたい事を言っていたペトラとギレスラは、兄の左右に回りこんでその手に持たれたコインを覗き込もうと身を寄せている。
『ジ? ジジッ!』
揃って大柄な二人が力任せに顔を寄せ、レイブを押し包みそうになった瞬間、何かを察知したのかバッタのテューポーンが慌てて飛び去っていく。
次の瞬間、
「ギィヤァーッ! 痛痛痛痛痛痛痛ーっ! きゅ~っ!」
『レ、レイブッ?』
『レイブお兄ちゃんっ! あっ、コインがっ!』
突然大声で叫びを上げたレイブは意識を失って倒れこんでしまったが、その手からは、つい今しがたまで握られていた筈のコインの姿は消え失せていた。
『ふぉふぉふぉふぉ』
驚愕の表情を浮かべ唖然とする面々の中で、『森王』ダソス・ダロスの満足そうな笑い声だけが周囲に響き渡っていた。
白目を剥いて痙攣し、口から泡を吹き続けているレイブからは、普段の天真爛漫な陽気さや、根拠の無い自信に基づく尊大さは微塵も感じられない。
そこには、コインの呪いに翻弄されて運命に弄ばれている非力な弱者の凄惨な姿しか見出せなかった。
何と無く、同じ空間にいるだけで不幸が感染するんじゃないか?
そんな縁起が悪そうな予感に一同が呼吸を我慢したり親指を隠したりする中で、ペトラがスキルを発動する声だけが聞こえる。
『『回復』! だ、大丈夫、レイブお兄ちゃん?』
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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