【1950話】 堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
第三部 六章 リベルタドーレス ~解放者たち~
1950.無限迷宮
断片的で不条理にすら感じていた竜王一派のハタンガ出兵だったが、こうして繋ぎ合わせてみれば至ってシンプルな話だと納得できる、狂信者故の極端さも勘定に入れれば判り易さも一入だ。
しかし、納得しようが判り易かろうが一入だろうが、レイブやギレスラが、はいそうですか、なんて言うとは限らない、限って堪るかっ!
なにしろレイブ達スリーマンセルにとってバストロ達は親も同然、ジグエラは優しく慈愛に満ちた母親そのものなのだ。
とりわけギレスラには実の母と仔以上に大切な存在、ドラゴンとしても闘竜としても掛け替えの無い師であった筈だ。
そのジグエラをなんて? 邪竜だから何? 殺すの? 依り代になられたら困る? だから殺すの? いや、信仰がその、ね? んで殺すの? ほら、赤いじゃん? 殺すんだ……
である。
話し切った、出来る事はやり尽くした、そんな感じで自虐的に笑うグラムランドにギレスラは言う、ご静聴願いたい。
『何だと? ではハタンガ攻めの理由は神ヒュドラの依り代確保、その為だったと?』
あれ?
『いや確保するのは神の玉体たる『魔核』の方だ、さっきから言っておるだろう?』
おや、これは……
『ふむ、判らん』
『何故だっ! 余は何度も説明したであろうっ?』
『判らんものは判らんのだ! レイブ、判ったか?』
「あれだろ、えっと」
タイムリープではない、この感じのループは既に四度目なのだ。
くどさを承知で私も同じ言葉を繰り返そう、この場にペトラがいさえすれば……
嘆いた所で寝ている者は仕方ない、と言う事で観察を早送りしてループを脱出してみよう。
『――――迂闊であった、ヘラヘラヘラ、では済まないのだ、お前の言動に多くのドラゴンの命が懸かって居るのだぞ! 全く…… 今後は自戒を込めて定期的に自傷行為でも試す事を勧めるのだ!』
「そこらの崖から真っ逆さまとかで良いんじゃね? ほら、里を守る者の務め的な? ちょっとした儀式とかになりそうじゃん?」
『いや、余って飛べるんだぞ? って! ま、まさか、り、理解、したの、か?』
『む? ヒュドラの魔核を確保する話であろう? 違うのか?』
『ち、違わないっ、違わないぞっ!』
「あれだよな、魔核の件と依り代探し、つまり二つの全く別々の話なんだよな、それを一緒くたにして話すから聞き手が混乱しがちになるんだと思うぜ」
『流石レイブ、完璧な分析なのだ』
『おぉぉぉっ、おおおおおっー! 良っしゃーっ! 良し、良し、良ーしっ!』
不毛なやり取りを繰り返す事十二回、遂に囚われていた時間の輪から抜け出す事に成功した竜王グラムランドは両拳を握り込んで大きな雄叫びを上げた。
その場に居合わせた地竜ヴァミスは後に語った。
『まるで大地を割き空を焼き尽くす感じの咆哮だったよ、正に竜の王者の風格でさ、あんな竜王様は初めて見たな…… それまで? うーん、デカいだけの奴だと思っていたかな? 図体だけで偉っそうにしやがって、とか? あっ、これ内緒でね、オフレコで頼むよ?』
堂々巡りの迷宮からの脱出…… やはり当事者に限らず傍観者にとっても印象的な出来事だったらしい事が伺える、B級映画ならちょっとしたラストシーン並みだ。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です。
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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