【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1597.キビ
「逃げちゃうじゃん!」
「くふふふ既に遅い! 我輩はこの身を霧へと変える事が出来るのだ! くふふふふ、一度解き放たれさえすれば二度と捕らえる事など――――」
「大丈夫ですよハンペラさん、どの様に姿を変えてもピット器官には魔核の位置が丸判りですからね、おかしな素振りをしたら次は問答無用で切り刻みますから」
「まじで? 好じゃん」
「………………」
大見得を中途半端な形でぶった切られたヴラド、大仰に広げ掛けたマントをそっと閉じ、俯いて肩を震わせている、きっと世の不条理に打ちのめされているのだろう。
ちょっとヘビに似ていたお蔭で場を圧倒的に支配しているシュカーラが、懐から小さな包みを取り出しながら言葉を続ける。
「とは言え、ちょろちょろされても面倒ですからね、こいつを使いましょうか」
「むむっ、それは一体ナニナニナーニ、ぞ?」
ハンペラは既に坑道の中、シュカーラの隣で包みを覗き込んでいる。
「これですか? そこらに生えてるキビの実ですよ、非常食のね」
ピクッ!
「そんな物どうするん?」
シュカーラは首を傾げるハンペラでは無く、キビと聞いた瞬間、僅かに身を強張らせたヴラドを見ながら言う。
「さて、どうしたいのか、本人に聞いてみましょう」
「本人?」
「…………くれ」
「んー? ナニナニナーニ?」
「それっ! 数えさせてくれえぇーっ!」
「ほぁっ! なんなりっ? 急にっ!」
ハンペラが驚くのも当然だ。
急に訳の判らない事を口走ったヴラドの顔は完全にイってしまっていたのである。
ほんの短い間に窪み落ちた眼窩は青黒く変じて元々青褪めていた顔色を更に縁起悪そうに彩っていた。
カサカサに乾燥し捲った上下の口蓋は所々ひび割れて裂け目からは血液とは似ても似つかない濁った茶色の液体が噴き出したりしている、いと不潔な印象を受けてしまう。
禁断症状? 重度依存者? そんな単語が脳内を駆け巡る中、持ち前のカリスマ性だけで一癖も二癖もあるウータンギャルズを率いてきたハンペラは的確な言葉を選び出し、即座に口に出したのである。
「何なんコイツ、完ラリじゃんね? なんかハピハピなんだけどーっ! ねっ、アンタ自家中毒なん?」
ふむ…… 的確な表現だろう。
だと言うのに的確に問われた張本人、ヴラドと言えば粘着性の高そうな涎をネチャァーと垂らして荒い息を繰り返しているだけだ、全くもうっ!
見るからに終わっている吸血鬼の茶色く血走った視線から逃げ出す様に、ハンペラが身を潜めた対象でもあるシュカーラは、薄い笑みを浮かべて手にした小袋を飢えたジャンキーに向けて投げながら言い放つ。
「なるほど伝承に偽りなし、って所ですか、ほら、思う存分数えなさい、直、師匠達が来るでしょうから、それまで大人しくそうしていらっしゃい」
「あ、あ、あ、あぁあぁあぁー、えへへへぇ、一、二、三、えへへぇ、四、五、六、ぷふぅ~、七、八――――」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
Copyright(C)2019-KEY-STU
いいなと思ったら応援しよう!
励みになります (*๓´╰╯`๓)♡