【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1233.激昂のままに
手近に居た数匹の猫型のモンスターを飛び蹴りと続いて繰り出した拳の連打で打ち倒した後、解体中の獲物を守る様に立ち塞がったレイブは、周囲の獣面達に激昂した声で叫ぶ。
「離れろっ! この獣どもがっ!」
突然の乱入に獣面たちは口々に驚きの声を上げる。
「な、何だ!」
「ニンゲン? 何故ここにニンゲンが?」
「おいっ、それは俺たちの獲物だぞ! お前こそ離れろっ!」
レイブの形相は正に悪鬼羅刹の如く変じ、発する怒号にも押し殺した様な殺意が増加している。
「獲物、だと! ふ、ふざけるなっ! こいつは俺の弟だっ! 貴様等、きさまらぁっ! 殺してやるっ!」
レイブの全身から殺気と共に濃密な紫色の魔力が溢れ出す。
特に色々あった左腕周辺からは一層凶悪な魔力が立ち昇り、数十の帯状になったそれは、一つ一つがまるで蛇のように身をくねらせながら獣面達に向けて牙を剥き、あからさまな敵意を隠そうともしていない。
獣面の中心に居た二匹の内、背が高い狼風の人物が叫ぶ。
「引けっ! 皆、退避するんだっ!」
言いながら自分自身はこの場に残るつもりなのか、レイブに向けてその鋭い爪を向けながら口元から僅かに覗いた牙を軋ませている。
留まっているのはもう一体、こちらもやはり群れの中心で指揮を取っていた猫型、厳密に言えばアムール虎っぽい個体だ。
威嚇を続ける狼の横に立ち、特に構えを取るでもなく無言のままで、透き通った青い目で品定めでもする様にレイブを凝視している。
筋肉質だが細身に見える狼とは違い、逞しく肥大化した筋肉は膂力の強靱さを窺わせている。
激昂しながらも一瞬でそれらを確認したレイブは一切の迷いを見せずに狼に向けて肉薄、振り下ろされた爪の応撃を紙一重で躱した後、その勢いを利用して僅かに体を捻って腹部に掌打を打ち込んだ。
吹き飛ばされた狼の斜線上には虎が居た筈である。
一撃でリーダー格二匹を無力化して逃走した獣面全てを始末してやる、そんなレイブの目論見は次の瞬間下方、狼の足元から繰り出された虎の爪によって阻まれる事となった。
地面を抉らんばかりの勢いの爪撃は、レイブが看抜いた通り速さよりも重さに重点を置いた強烈な致命を狙った一撃だったであろう。
狙っていたのだとしたら極めて上質のコンビネーション、互いを信頼し切っているからこその攻防と言って良いだろう。
凡百の戦士であれば狼の振り下ろしの速度に対応出来ないだろうし、死角からの虎の一撃には肉体を引き裂かれていた事だろう。
恐らく、これまで幾多の強敵を屠ってきた自信が二匹の獣面には有ったのだ。
レイブの掌打を空いた片腕で受け、後方に飛ばされた狼の苦悶の表情に浮かんだ笑みがそれを物語っていた。
皆さんに馴染みのあるだろう言い回しで表現すれば、
『殺った(とった)!』
的な顔つきである。
しかし、言うまでもなくレイブは凡百の戦士ではない。
こと戦闘においては一般人と隔絶した強さを誇る魔術師が育てられるバストロ学院、その学院長と向こうを張る実力者なのである、役立たずだけど……
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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